財田(さいでん)駅前を出た鉄道の痕跡は定かには認められないが、
現在の駐輪場辺りを東に向けて進み、その先で大きく南に進路を変え、
東西に流れる国道2号線(現250号線)と平面交差し「長利」駅に向か
っている。
この間を地図で確認しても、多くは住宅地や大型のパチンコ店の敷地
(以前は大型の商業施設が有ったところ)に変貌してしまった。
どこにも線路跡らしい形状の道路を認めることはできない。
僅かに団地内の道路100mほどに、それらしき痕跡が認められる程度だ。
国道250号を越え、拡幅もされていない昔ながらの狭い旧道を暫く進
むと、歩道も整備され、やや拡幅された道路に出る。
丁度この辺りから先が線路跡を転用されたものらしく、ほぼ直線の道路
が延びている。そんな道を進むと途中の小さな児童公園の中に、「長利」
駅を示す白い駅名標が立っている。
開業当時は「岩間」と呼ばれた駅である。
目の前を流れる百間川の対岸に、備前四十八ケ寺の第5番、高野山真言
宗派の岩間山・最明寺・山本院と言うお寺が有り、堂前には「岩間の桜」
と言われる銘木が有ったそうだ。
ここが花見の名所として知られ、駅は花見シーズンには多くの客で賑
わったと言われているが、残念ながらその桜は枯れてしまった。
線路跡と思しき直線道路は、その先も続きこの道のバイパスとして造
られた広い県道に接し、その先で庄内川に架かる目黒橋を渡る。
何か痕跡でも残されていないものかと、川面や土手を探してみるが残念
ながら何も見つけることは出来なかった。(続)
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