簾 満月「バスの助手席」

歩き旅や鉄道旅行のこと
そして遊び、生活のこと
見たまま、聞いたまま、
食べたまま、書いてます。

ばななかすてら(三蟠鉄道廃線跡を歩く)

2023-10-16 | Weblog
 下平井を出た三蟠鉄道は、少しずつ進路を旭川に寄せながら南進し、
次の宮道を目指す。
この辺りも線路跡を辿る事は極めて困難で、その痕跡すら解らない。
今ではその途中を、国道2号線岡山バイパスの高架に遮られているので
尚更である。



 ここで迂回を余儀なくさせられたことを幸いに、バイパス道路の前に
ある「ばななかすてら」の「福岡製菓所」に立ち寄って見た。
そこは工場直売店で、少し前までは焼きたて、アツアツの「ばななかす
てら」が食べられるとあって、これが人気を呼んでいた。



 嘗てバナナは高級品であった。
日本に初めて輸入されたのは、明治36(1903)年、台湾からやって来た。
今でこそスーパーやコンビニで簡単に手に入るが、当時は高価な憧れの食
べ物で、貧乏人の口にはおいそれとは入らず、唯一例外は土産で貰うか、
病気をした時位であった。



 バナナを何とか食べたい、そんな思いから考案されたのが、バナナ風
味の「ばななかすてら」である。カステラ生地を、バナナを模した型に
入れて焼き上げたもので、中にバナナ果肉や果汁を混ぜた微かなバナナ
風味の白餡が入っている。



 大正6(1917)年に、この「福岡製菓所」が作り販売したのが始まりと
言われている。
 バナナの輸入が自由化されるのは、昭和38(1963)年の事であったが、
安価で素朴なバナナ風味の焼き菓子は、今でも愛され続けロングセラーと
なっている。



 久しぶりに来てみたら、流石にこの時代で有る、鮮度保持剤を入れた
個別包装で売られていた。それでも伝統を守る職人ひとりひとりが焼き
上げた、しっとりしたカステラにバナナ風味の白餡は昔と変らない素朴
な味で、歩き疲れた身を甘味が癒やしてくれた。(続)





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