西遊記
孫に「孫悟空」の話をしてあげようと思ったが、あまりにも曖昧模糊としているので、図書館で子供向けの本を借りた。借りてから気づいた。内容があなどれないのである。おまけに、全10巻。
文も素晴らしいし、絵もうまい。理論社、文「斉藤洋」、絵「広瀬 弦」。私の方が引き込まれてしまった。第3巻「水の巻」では、ついに「般若心経」が、全文出てきた。孫悟空は、八戒に内容を尋ねられると「そこいらにあるものは、あるように見えるけれども、ほんとうはないんだってことさ。」と、一言。玄奘三蔵も「そのとおりだ」と、いうくだり。
孫はこの4月で1年生になる。わたしが、読んでいるのを手に取って、2巻読み終えてしまった。
わたしが、話すまでもない。しかし、彼が髪の毛を抜く真似をして、口でふぅっと、吹くジェスチャーをしたら、びびっと反応しなくてはならない。悟空が増えた様子をみせると、次は「この馬は、あの竜が食った馬になった馬だ」とか、結構おもしろい言い回しを、やはり口にする。そして、ふたりだけで笑っている。
ふたりでブーム状態だ。しかし、わたしは、小学1年生のレベルということか。いや、この本は大人でも楽しめる。前に、童話や本は、子供だましでは子供は喜ばないと聞いたことがある。絵本も、大人が感心するような絵や文章は、子供の反応も良いのだ。
現在、3巻目。あまり先に進むと、孫に叱られるので、ふたりでポストイットを張り付けて、同じような進度で読むが、うーーん。先に進みたい。でも、あまり先に進むと、登場人物の名があまりに難しいので、ぱっと言われても飛んでしまう。拓塔李天皇とか、霊吉菩薩とか、烏巣禅師とか、読み仮名がないと読めないではないか。
子供というのは、柔らかい頭だと思う。平気で読んでいく。適当に読み飛ばしていくのかと思えば、いきなり、たくとうりてんのうは、前にもでてたねーーと、言う。問いかけるな。1巻読むと、1巻消えていく。年齢を重ねると、名前のファイルがぎっしりになるので、そうそう新しい名前はファイルに収まっていかないのだ。と、言い訳をする。が、これはほんとらしい。
脳科学者が言っていた。いつ、どの本で言っていたかは忘れた。年を重ねると、自分の都合の良い情報のみを選んでしまうようだ。