インドを流れる母なるガンジス河の源流には3つの聖地がある。
ガンガー女神が降下したガンゴトリー(3048m)、
シヴァ神の聖地ケダルナート(3581m)、
ヴィシュヌ神の聖地バドリナート(3133m)、
もう一つヤムナー河の源流ヤムノートリー(3185m)。
この4ヶ所は全てウッタラカンド州にあるが、
ヒンドゥー教徒が死ぬまでに巡礼したいと言う場所である。
この映画は2013年に起きた大洪水を背景にしている。
ヒロインのサラー・アリー・カーンは、
サイフ・アリー・カーンの最初の妻アムリタ・シンとの娘で、
1995年生まれの23歳。この映画がデビュー作である。
ちなみにサイフ・アリー・カーンはこちら。
イスラム教徒のサラーがヒンドゥー教徒の司祭の娘を演じ、
ヒンドゥー教徒であるスシャント・シン・ラージプートが、
イスラム教徒を演じた。裕福なヒンドゥー教徒の娘と
貧しいイスラム教徒の若者の禁断の愛の映画である。
インドでは事なる宗教の間では基本的に結婚は成立しない。
同じ宗教内のカーストが違う場合も結婚はかなり難しいが、
宗教が違う場合はほぼ無理である。特にイスラム教徒の場合は。
私の周りでもヒンドゥー教徒とシク教徒、ヒンドゥー教徒とジャイナ教徒、
拝火教徒とキリスト教徒は聞いた事があるが少ない。
イスラム教徒は非常に難しい。例えば・・・
シャールク・カーン夫妻、サイフ・アリ・カーン夫妻など、
映画俳優にはいるけど、あれば別の世界の出来事と一般人は言う。
なおインド映画の上映には何かと宗教的や政治的なゴタゴタがつきものだが、
この映画もケダルナート寺院の司祭とウッタラカンド州のBJPから、
上映禁止の訴えが出された事を付け加えておく。
<ストーリー>
裕福なヒンズー教徒のパンデット(司祭)の娘ムックー
(サラー・アリー・カーン)が
聖地巡礼の為ケダルナート寺院へやって来る。
彼女はガイドのマンシュール(スシャント・シン・ラージプート)
と知り合い、毎日、彼の馬で山に登っているうちに二人は恋に落ちる。
しかしマンシュールはイスラム教徒だった。
ヒンドゥー教徒の聖地と言えども異教徒はいる。
当然、ムックーの家族は大反対するが、
ムックーはマンシュールの家に行ってしまう、
マンシュールの母親はただおろおろするばかり。
激怒したムックーの父親は、
人を使ってマンシューをボコボコにしてしまう。
そして強引に結婚の話を進める。結婚の日は大雨だった。
結婚が成立した後、絶望したムックーは、
自殺を図るが一命をとりとめる。
雨はガンガーを荒れ狂う大河に変え、濁流が押し寄せる。
マンシュール達は高台に逃げるが、
巡礼の人々は河の中州にある寺院に逃げた。
マンシュールは寺院にいるムックーを助けに行くが、
濁流に飲み込まれてしまう。
洪水がひと段落ついた時、
寺院にはムックー父子を含め生存者がいた。
軍のヘリが助けに来た。マンシュールは子供、女性、
老人をヘリに引き揚げさせる。
ムックーと父親が乗り、あと残り2人・・・・となった時、
既に定員オーバーでヘリのパイロットはあと一人だけだ!と叫ぶ。
マンシュールは最後の一人をヘリに引き上げさせ、
自分は残った・・・・。雨で地盤が弱くなっていた寺院は、
マンシュールもろとも崩れ去ってしまう。
宗教を超え自分を犠牲にして人々を助けたマンシュールが、
こんな不幸な最期を遂げてしまうなんて、
神も仏もいないのか・・・・と悲しくなってしまった。
この洪水で犠牲になった約6000人の人々の魂が
安らかである事を願ってやまない。にほんブログ村