2014年のハードボイルド小説だが主人公は主婦と言う設定。
とは言っても・・・普通の主婦が殺し屋ではなく、
殺し屋が結婚して母親になったと言う事だ。
世の中には自分の感情とは関係なく平然と・・・冷静に・・・
人を殺める事ができる人間がいる。
TVドラマのように、世にはびこる悪党を消し去る、
必殺仕置き人や隠密同心や桃太郎侍みたいな(みんな時代劇だが)
007みたいなエージェントがいると言う事だ。カッコいい~。
もちろん非合法だがどこの国にも諜報組織はあるはずだ。
直訳するとタイトルは「嘘つき」であるが、
諜報部員は世を忍び別の人物に成りすまさなければならないので、
大嘘つき以外の何物でもない。
主人公の奈々は11歳の時に弟を殺した母親とその恋人を事故に見せかけて
殺してしまった過去を持つ。16歳で同級生を殺した後、ある人物に
その才能(と言うのか?)を見出され非合法組織に身を置くことになる。
大学の恩師に求婚され(断り続けるのだが)結婚し息子を設けるが、
仕事(重要人物の抹殺)は続けていた。ある日・・・警察から
大学教授の夫が火災事故に巻き込まれ死亡したと言う電話が入る。
おかしい・・・と言う勘から独自に調べ始めるが・・・・・。
協力する者、妨害する者、協力に見せかけて騙す者、諜報組織と言うのは
エージェントを駒にしか考えていないと言う事がよく解る。
人間と言うものはどんなに訓練された人でも欲望はあり、
誰よりも秀でようとか言う欲や感情に左右されてしまうものである。
そのあたりはスパイや犯罪関係の実話や小説を読んでみても、
人間である限り心の中に消せない物があると言う事を感じる。
読書の秋かな。大沢在昌氏の小説をしばらく読み続ける事にする。