カレーなる日々 / शानदार दिन

インドの日常を中心に日々を綴っています。

「撃つ薔薇」大沢在昌

2021年10月20日 21時24分59秒 | 本 / BOOKS

サブタイトルがAD2023涼子。
2023年の東京が舞台。美貌の刑事の櫟(くぬぎ)涼子が
麻薬組織に潜入し捜査すると言うハードボイルド小説。

もともとドリーム・キャスト用ゲームソフトの小説版で、
2000年の刊行。今年は2021年だからあと2年だが、
20年前に書かれたものである。

躊躇することなく銃を撃つのは当然であるが、
美貌の持ち主であるがゆえに手柄や出世は実力ではなく、
美貌であるからと思われる事を何よりも嫌ってきた故に、
男性に対しては手厳しい。

ちょっと意外な気がしたのは男嫌いと言われてきた涼子が、
犯罪組織内で出会った謎の男・龍に本気で惚れてしまうくだり。
まぁそう言う事もあるかもしれないけれど・・・
プロとしてはどうかと思う。心があるのは人間的だけど。

最初はお互いに正体不明であり命を救いあい、
秘密裏に内通者をあぶりだす作戦を遂行する。
その過程で秘密を持つ同志が関係を持ってしまう。
龍の方は逆色仕掛け(笑)を仕掛けたわけでもないのだが、
涼子の方から龍を求めてしまう。

初めての長期の任務でしかも難易度が高く、死と背中合わせ、
と言う事で精神的な支えが必要だったと思うが・・・
完璧な人間などしないが・・・。

涼子に想いを寄せながらプロとして死んでいった、
ベトナム人のホーの方が潔く立派だった。
涼子は刑事である事を隠していたためホーを欺いて、
死なせてしまった事を悔やみ敵を討とうと決心する。

しかし龍に対しては同じ潜入捜査官であって欲しいと思い、
内通者でない事を望み、仲間ではない事を知った後でも、
司法取引を持ち掛けようとする。

ホーは本当のプロだった。いつか自分が殺される事も
予測しており、その後の事までちゃんと考えていた。
自分を殺した犯人を突き止める為に涼子が部屋に入る事も。
PCのパスワードがryokoだった事、そして動画で、
「あんたがこれを観ているって事は俺がしくじったと言う事だな。」
と言うくだり・・・・ここ凄いっ!て思った。

涼子を相棒だと認め、相棒だからこそ手出ししなかった。
男と女の関係になってしまえば冷静さを失い、
焼きが回ってしまう事があるも知っていたからこそ、
プロである事を選んだのだ。

主役である涼子と龍をも上回ってしまうほどの役回り、
これ・・・映画だったら誰が適役かな、田中邦衛?
あ・・・ベトナム人だった。涼子は米倉涼子、名前同じ。
龍は・・・中国人っぽいけど、無理を承知で(笑)
インド人俳優のヴィドゥート・ジャムワルはどう?

コメント
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