カレーなる日々 / शानदार दिन

インドの日常を中心に日々を綴っています。

「秘密」東野圭吾

2021年11月14日 21時42分59秒 | 本 / BOOKS

1998年発行の東野圭吾の小説。
1999年に広末涼子主演で映画化され、
2010年にTVドラマ化されている。
また2007年にフランス映画としてリメイクされている。

これは良い作品だった。ストーリーをかいつまむと・・・
主な登場人物は39歳の杉田平介と妻・直子と
11歳の娘・藻奈美の三人。

ある日、親戚の葬儀に参列するために直子と藻奈美は、
スキーバスを利用して実家に帰る途中、事故に遭う。
直子は藻奈美をかばうようにして死亡し、
奇跡的に藻奈美は無傷だったが頭を打っていた。

意識が戻った藻奈美は平介に話かける・・・・
自分は直子であると・・・・。
身体は藻奈美であるが精神(頭と心)は直子なのであった。

11歳の藻奈美は小学生であるが、行動や会話は直子なので、
子供ではなく大人である。平介と藻奈美である直子は、
親子として暮らしながら、実は夫婦である。

藻奈美は学校や家の外では子供らしく振舞い、
自宅では直子に戻る。父娘であり、夫婦でもある。
2人の心の葛藤。父娘なので夫婦として生活するわけにもいかない、
2人の日常がうまく描かれていた。

小学生から思春期を経て大学生になるまでの父娘関係、
平介が藻奈美に想いを寄せる男子に嫉妬するくだりは、
父娘と言う気持ちではなく、自身の妻にアプローチする
複雑な心境が出ていた。

また40代の健全な男性である平介の男としての生態(笑)も、
ありのままに表現されていて、実際はこうなんだなぁと思った。

最終的な着地点がどうなるのか? と思っていたら、
藻奈美が大学生になった頃、眠っていた直子が目覚めると、
藻奈美が現れると言う現象が起き、だんだんと藻奈美である時間が
長くなり最終的には直子の魂は消えてなくなってしまう。

過労が原因で事故を起こし死んでしまった
スキーバスの運転手の家族との交流が鍵となっていて、
エンディングに結びついている。

マスカレード・シリーズや推理小説も面白いと思うが、
東野圭吾作品の中ではピカイチだと思った。
まだ全作品読んだわけではないのだが・・・・。

コメント
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