2011年の東野圭吾の推理小説。
刑事・加賀恭一郎シリーズの9作目。
ある日、日本橋をふらふらと歩く男が、
麒麟像にもたれかかり死んでしまう。
胸にはナイフが刺さっていた。
日本橋署の加賀と加賀の従弟で警視庁の松宮が、
捜査にあたる。殺された男・青柳の財布と鞄をもった、
若い男・八島が交通事故に遭い死んでしまう。
八島が金品を奪うために青柳を刺したのか?
二人の関係は? 刺された青柳はなぜ助けを呼ばずに、
日本橋まで歩いてきたのか?
加賀と松宮は真相を究明するために、
二人の周りを調べて行く。
調べて行くうちに八島が青柳の会社の工場で、
バイトしていた事が判る。労災で怪我を負った八島が、
事故隠しによって仕事も辞めさせられ、
後遺症によって仕事につけなくなっていた事を突き止める。
しかし・・・実際はこれは真相ではなく、
過去に隠された事件が殺人に繋がっていた事が判る。
青柳がなぜ助けを呼ばず麒麟像まで歩いて行ったのか?
青柳は自らの命と引き換えに何を伝えようとしたのか?
加賀の推理・・・まぁ仮説であるが、
独特な角度から焦点を当て、
真実に迫って行く過程は、なるほどと思わせる。
そして、他の作品にも言える事だが、
単に真実を暴くと言うより、関係者の心に迫り、
大切な物を思い出させると言うか、
教えて行くと言うか、正義とは何か?を核にして、
真犯人が自白するように仕向けて行くのだ。
これぞ刑事・加賀恭一郎である。
2012年に「赤い指」「新参者」と合わせたストーリーで、
映画化された。加賀役は阿部寛、松宮は溝端順平。