1999年発行の東野圭吾の推理小説、
刑事・加賀恭一郎シリーズの第5段。
面白いのは登場人物で殺人事件の容疑者3人の、
それぞれの回顧録が順番につづられている事だ。
脚本家の穂高誠が結婚式当日に死亡する。
死因は毒殺、常時飲んでいた鼻炎薬のカプセルに
毒が仕込んであった。
穂高は女癖が悪い上に映画製作の失敗で自身の会社も
危ない状態だったため、再婚相手に詩人の神林美和子を選んだ。
そのために付き合っていた浪岡準子を捨てたわけだが、
その準子が結婚式の前日に穂高の自宅で自殺してしまう。
動物病院に勤務していた準子が病院から毒薬を持ち出し、
穂高を殺して自分も死のうとしたらしい。
当然、隠そうとした穂高は大学の同級生で、
借金の肩代わりを事で会社を任せている駿河直之に
死体を自宅に運ばせ尻ぬぐいをさせる。
死体を運んでいる所を目撃した編集者で、
穂高の前の恋人でやはり捨てられた雪笹香織。
そして再婚相手の神林美和子の兄で美和子と禁断の関係
(平たく言えば近親相関)である神林貴弘。
この3人は穂高を殺す動機があるが、
毒薬を仕込むチャンスがあったのは誰か?
と言うところが争点となり、加賀が独自の推理から、
真犯人を追い詰めて行く。
最後の場面では容疑者3人を集め、
自白するように追い詰めて行く。
「どちらかが彼女を殺した」と同様、
最後に犯人の名前は記されてなく、
読者に推理するようにと言う事らしい。
前作では容疑者は2人。今回は3人であるが、
私は今回の方が解りやすかったように思う。
前回の事があったからそのつもりで読んだからかもしれないが。