2013年発行の東野圭吾の推理小説。
刑事・加賀恭一郎シリーズの10作目。
小説を先に読んでいるのだが、小説では気にならなかったが、
映画では加賀は何度も自分が「マザコンだから。」と言うのだが、
12歳の時に突然いなくなった母親を慕うのはもっともだと思う。
加賀がなぜ日本橋署に身を置くのかと言う理由も明らかになる。
16年後に仙台で母親が病死。その時28歳の加賀は、
教師生活を経て刑事なっていた。そこから10年・・・
40手前に差し掛かっているが、母親の遺品から日本橋にこだわり、
母親が残した荷物から日本橋に縁があったと思い、
日本橋署に籍を置き、地元に密着したのだった。
話は仙台から始まる。
田島百合子と言う36歳のわけありの女性を、
宮本康代が自分のバーで雇う事になる。
百合子は12歳の息子を残して家を出たと言う。
妻としても母親としても至らなかったと言うのだが、
どうもうつ病であったようだ。
生活環境が変わったおかげで百合子は元気になり、
百合子の働きで康代の店は繁盛したが、
十数年後、百合子は病死してしまう。
康代が百合子の身寄りを捜し、
加賀に辿り着く・・・・・。
加賀は百合子の荷物を引き取り、
母親の人生に想いを馳せながら現在に至る。
10年後、滋賀県から上京した押谷道子の死体が発見される。
道子の捜査にあたるのは加賀の従弟の松宮だった。
道子は明治座に演出家の浅居博美を訪ねた後、
死体となるまでの足取りが不明だった。
博美は道子の中学の同級生だったが、
家庭の事情で転校していた。
道子は地元の施設で身元不明の女性を見つけ、
それが博美の母親だと確信し博美を訪ねて来たのだった。
博美は不幸な子供時代を送ったが、
相当な苦労をして現在の地位を築いており、
過去を蒸し返されるのは苦痛であったが、
アリバイがあった。
河川敷で浮浪者と思われる男性の他殺死体が発見される。
松宮はなぜか道子の事件とに関連性を疑う。
一見、関係のなさそうな2つの事件だが。
そして仙台の加賀の母親との関連はあるのか?
松宮が道子と浮浪者の事件を追っていくと、
博美と加賀が面識があった事に辿り着き、
加賀は持ち前の嗅覚から仙台と関係があったと思う。
すっかり刑事・加賀恭一郎=阿部寛だわ。
私はこの作品を読み始めてすぐに思った。
これ松本清張の「砂の器」だわと。
かなり昔だが松本清張もほとんど読んだ。
不遇の子供時代に知られざる出来事(本人にしてみたら、
ない事にしたい出来事)があり、まぁ犯罪だが、
それを隠しとおそうとする本人の心に闇、
暴かれる事を恐れて暮らす毎日。
ある日、その触れられたくない部分に、
近づいてくる人物。知られないようにするために、
重ねてしまう嘘と犯罪。
映画でもやっぱり「砂の器」だと思った。