2014年刊行の東野圭吾のサスペンス小説。
「死刑」について考えさせられる。
殺人の被害者の家族は犯人に死刑を望む。
人を殺したのだから、死んで償うのは当たり前である。
しかし死刑になっても、死んでしまった被害者は生き返らない。
生きて罪を償うべきなのか、死をもって償うべきなのか。
難しい・・・自分が被害者家族であれば死刑を望むだろう。
死には死を・・・。
このテーマを考えて読み進んで行くと・・・
もう一つのストーリーが絡んでくる。
中原道正と小夜子の夫婦には小学校2年生の娘・愛美がいた。
愛美は小夜子が夕飯の買い物に出かけた時、留守番をしていたが、
空き巣に入った強盗に殺されてしまう。
正道と小夜子は犯人に死刑を望む。犯人は仮出所時に強盗に入り
罪もない幼女を殺した事で死刑判決を受ける。
しかし正道と小夜子は二人でいると愛美の事を思い出してしまい、
哀しくて仕方がないと言う理由で離婚する。
離婚後、正道は親戚が営んでいたペットの葬儀屋の会社を引き継ぎ、
二人は会う事もなく11年が経過する。
ある日、愛美の事件を捜査した刑事の佐山が正道の元を訪ね、
小夜子が殺された事を告げる。小夜子はフリーライターとなり、
死刑廃止反対の活動をしていた事を知る。
小夜子を殺した犯人はあっさりと自首し逮捕される。
お金に困って行き当たりばったり的に後をつけて、
刺して金品を奪って逃げたのだが、逃げ切れないと
自首してきたと供述する。
年老いた小夜子の両親は犯人に死刑を望むが、
犯人は初犯であり高齢であった事もあり、
死刑判決は出そうにない。
正道は謝罪したいと言う犯人の娘夫婦と会い話を聞くが、
娘の夫は小児科医で善人のようだった。
正道は小夜子が取材していた犯罪者から話を聞くうちに、
隠された過去の出来事を知る事になる。
この医師が小児科医になった理由は彼の過去にあった。
そして犯人の娘との結婚にも、その過去が影響していた。