カレーなる日々 / शानदार दिन

インドの日常を中心に日々を綴っています。

「1R1分34秒」町屋良平

2025年02月27日 21時40分59秒 | 本 / BOOKS

ここのところボクシング小説を読み続けている。
タイトルからしてボクシングらしい。
2019年発行の町屋良平の作品。

主人公はボクで名前はない。
4回戦の若いボクサーで、初戦はKOで勝ったものの、
その後3敗1分であり、1勝3敗1分、
早い話が弱いのである。ただパンチ力はあるようだ。

しかし、気持ちの強さがない。
何が何でもとか、チャンピオンになってとか、ない。

なんでボクシングをやってるのか。

でもこういう若者がいるのかもしれない。
みんながチャンピオンになれるわけではないし、
センスがあるわけではない。

ボクは飲食店でバイトをしている。
店のみんながチケットを買ってくれたり、
シフトを優遇してもらったりしていたけど、
勝てないのでまわりから気を使われる存在になる。
ボクはジムに体験入門でやって来た、
女の子をナンパしたりする。

その辺にいるただの若者である。
ボクシングに賭けているものがない。
果たしてボクシングをやる意味があるのか。

そんなボクはトレーナーに見放されてしまう。
しかしそんなボクだが、パンチ力があるので、
同じジムの6回戦ボクサーである通称ウメキチが、
トレーナーとしてつく事にある。

ウメキチはボクの欠点をよく解っており、
解りやすく指導していく。ボクはウメキチの指示を
うっとうしく思いつつも従って行く。

そして迎える次の試合・・・・
「1R1分34秒」でKO勝ちする・・・・
のかと思ったら・・・
「1R1分34秒」でKO勝ちするのを空想するのであった。

 私はボクシングをした事がない。
 (正確には体験入門だけだ)
 だから技術的な事はよく解らないのだが、
 ウメキチの分析と指導はとても分かりやすかった。

 減量中の精神的な浮き沈みとか、
 トレーニングのつらさやモチベーションとか、
 周りの環境との付き合い方とか。
 この辺りも実際そうなんだろうと思った。

 作者は物凄くボクシングに詳しいんだなぁ。
 もしかしたら真剣に打ち込んでいた事があったのかなぁ、
 などと思っていたら・・・・
 最後のあとがきを見て驚いた!

 なんと技術的な事は小熊ジムの田之岡条選手の説明を受けていた。
 田之岡選手は私の友人がスポンサーについている選手だ。
 スポンサーにこの本を推薦したら、やっぱりビックリしてたわ。

世の中狭いなぁ。

コメント
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