2004年刊行の熊谷達也の小説で、
2003年刊行の相克の森、2014年刊行の氷結の森と合わせて、
マタギ三部作又は森シリーズと呼ばれているのだが、
最初に読んだのがこの邂逅の森だった。
マタギとは又鬼と書くそうだが、語源は諸説ありハッキリしていない。
狩猟を生業とする人々の事で主に東北、北海道、北関東、
甲信越地方に住んでいる。長(マタギ言葉でシカリと言う)の下に
追い出しをする者、鉄砲で撃つ者などがおりチームで狩りをする。
狩猟の対象は鹿、熊、兎、猿など。
この本の主人公は秋田県阿仁(あに)のマタギ集落で生まれた富治。
優秀な長(マタギ言葉でシカリと言う)であった父親から猟を教えられ、
父親が引退した後、別のシカリについて鍛えられて行く。
そのまま成長していくのかと思ったら・・・・
有力者の一人娘に手を出した事がバレて追放されていまう。
そしていろいろな場所を転々としならがら、
最終的にはマタギの血なのかマタギに戻って行く話。
簡単に書いてしまうとぜんせん面白くないのであるが、
富治の人生は波乱万丈(自分が原因を作ったのであるが)で、
昔の山間部の貧困の村の様子や、親子関係をはじめとした人間関係、
山の神との関係も面白くもあり、神秘的でもあった。
三部作の他の二つ「相克の森」「氷結の森」も読みたい。
全く別人物が主人公で異なる視点からマタギを書いているらしい。
言い忘れたが「邂逅(かいこう)」と言うのはめぐりあいの事。
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