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山内康一
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安倍内閣不信任案の討論をしました。
2018年07月20日
今国会の事実上の最終日(7月20日)には、野党で一致して安倍内閣不信任案を提出しました。こういった場合、内閣不信任案の「趣旨弁明」というのがあり、野党第一党の党首が本会議場で演説します。
内閣不信任案の趣旨弁明については、制限時間がありません。枝野代表が趣旨弁明を行いましたが、なんと2時間43分の大演説となりました。原稿を用意している部分もありますが、アドリブも多く、演説の名手の枝野代表ならではの名スピーチでした。
そして内閣不信任案に対する各党の賛否の討論があります。自民党、公明党、日本維新の会は反対討論を行います。野党各党は賛成討論をやります。野党各党の討論者と討論時間は次の通りです。
立憲民主党 山内 康一 (15分)
国民民主党 玉木 雄一郎 (15分)
無所属の会 岡田 克也 (10分)
日本共産党 志位 和夫 (10分)
私以外の野党の討論者は、みんな党首です。重要な討論ということが、おわかりいただけると思います。
ちなみに、自ら志願したわけではありません。討論者を決めるのも私の仕事だったので、党の役員会で「長妻政調会長がいいんじゃないですか?」と提案したところ、「今国会でがんばった人がいいんじゃない。逢坂さんか山内さんがいいんじゃないの?」というご意見があり、逢坂さんと私でお互いに譲り合い、最後は私がやることになりました。
本会議場に登壇して演説するのは2009年以来です。ずっと国対畑で地道な調整業務を中心に担当してきたので、本会議場で華々しくスピーチした経験はほとんどありません。珍しく華々しい機会をいただき、めちゃくちゃ緊張して、出だしからカミカミでした。何とか15分の討論を終えた時はヘトヘトでした。とりあえず終わってホッとしております。討論原稿を下記に転載しましたので、ご一読いただければさいわいです。
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内閣不信任決議案への賛成討論原稿
立憲民主党の山内康一です。
討論に先立ち、西日本を中心に大きな被害を及ぼした集中豪雨でお亡くなりになった方々に哀悼の意を表するとともに、被災された方々に心からお見舞い申し上げます。また、炎天下で懸命に救助活動にあたっている関係者の皆さま、被災者の支援や復旧にあたっている関係者やボランティアの皆さまに心から敬意を表します。
立憲民主党・市民クラブを代表し、ただいま議題となりました安倍内閣不信任決議案に対し、賛成の立場で討論いたしします。
安倍内閣を信任しない理由については、わが党枝野代表の提案の趣旨説明ですでに詳しく述べられました。皆様もよくご理解いただけたと思います。そこで、私は特に強調したい5点にしぼって理由を述べさせていただきます。
安倍内閣を信任しない第一の理由、それは、やるべきことをやらず、やるべきでないことをやっている点です。先日の豪雨災害の犠牲者は200人を超えました。気象庁が異例の記者会見を開いて記録的な大雨への警戒を呼びかけ、11万人に避難指示が出されるなか、内閣の危機管理の最高責任者である安倍総理、危機管理の要の防衛大臣、内閣官房副長官が、そろって仲良く宴会とはあきれる他ありません。平成に入って最大の豪雨災害への対応としては、お粗末そのものです。大きな被害が予測され、だからこそ気象庁が緊急記者会見を開いたわけです。あの晩の安倍総理に、自民党議員と身内で 楽しく宴会を開いている余裕があったとは思えません。さらに衆議院議員宿舎という国有資産のなかで、「赤坂自民亭」などと称して、自民党議員だけで集まって定期的に酒盛りをするセンスにもあきれます。どこかその辺の居酒屋でも使えばいいのに、わざわざ衆議院の施設を占有し、わがもの顔で飲んで騒いで楽しんでと。これには多くの国民があきれています。言い訳せずに、すなおに謝られた方がいいと思います。
さらに恥の上塗りは、災害対応の真っ最中に国土交通大臣がカジノ法案の審議にあたったことです。河川や道路の復旧にあたる国交大臣は、災害対応でもっとも重要な大臣です。その国交大臣が、災害に対応するのではなく、国会でカジノ法案対応にあたるのは、まったく理解できません。豪雨災害対応よりも、カジノ法案対応を優先する。自らの良心にてらして、恥ずかしくないのでしょうか。多くの犠牲者が出て、多くの被災者が苦しんでいるなか、野党が政治休戦を申し入れたにも関わらず、あくまでカジノ法案や参議院の定数増法案を優先する姿勢は、とても国民の理解を得られるものではありません。
大災害に際して、やるべきことを後回しにして、やらなくてよいことを優先する。危機感がまったく欠如しています。このような事態は「危機管理がなってない」というより、安倍内閣の「管理危機」です。「管理危機」は、危機をさらに増幅します。危機管理能力に欠ける安倍内閣は、それだけで総辞職に値します。
次に安倍内閣を信任しない第二の理由、それは議会制民主主義の危機を招いたことです。森友学園、加計学園と続いたふたつの学園疑惑は、国有地の売却に関わる疑惑、補助金選定の 適切さに関わる疑惑と、どちらも深刻です。
しかし、それにとどまらず、安倍総理に忖度して公文書が改ざんされ、官僚が国会でウソの答弁をし、国会の国政調査権を無視する異常事態は、さらに深刻です。国会に提出される資料が改ざんされ、政府参考人が虚偽の答弁をするのであれば、まともな国会審議は成り立ちません。「野党の審議拒否はけしからん」と批判する方もいますが、国会でウソの答弁や文書の改ざんが行われている時に、何事もなかったかのように、審議を進めることはできません。審議の前提が壊れ、議論が成り立たなくなったのは、政府与党の側に責任があります。また、このような政府の対応を見ていると、官僚のモラルも地に落ちたと言わざるを得ません。国会で平気でウソをつく忖度官僚を生んだのは、安倍政治に他なりません。いびつな忖度政治の元凶をつくり、行政をゆがめ、議会制民主主義の土台を壊したのは安倍内閣総理大臣です。
安倍内閣総理大臣を信任しない第三の理由、それは民主主義の根幹にかかわる選挙制度改革を、党利党略で自民党に有利な形に作り変えたことです。合区対象県の現職参議院議員の救済のための選挙制度改悪に過ぎません。合理的な理由などそもそもありません。人口減少が進むなか、ろくな説明もなく、参議院の定数を増やす。そんなことに 国民の理解が得られるわけはありません。自民党総裁選を前にして、参議院議員の歓心を買いたいのかもしれませんが、このような自民党の党利党略のための選挙制度改悪は許されません。数の力を背景に、ここまで露骨な党利党略の選挙制度改悪はかつてありませんでした。選挙制度をもてあそぶ政党の党首が、内閣総理大臣の地位にある。これこそ民主主義の危機です。
国会の議席数が多ければ、何をしても許されるというのでは、民主主義ではありません。それでは「多数者による専制」です。選挙制度は、国民の意思を政治に反映する上でもっとも重要な手続きです。選挙制度は公平公正でなければなりません。そして、多くの国民が納得するものでなくてはなりません。選挙制度改革にあたっては、少数意見に謙虚に耳を傾け、丁寧に議論し、広範な合意を形成する必要があります。拙速な議論で参議院の選挙制度を改悪してしまったことは、日本の政治史に残る汚点となるでしょう。
安倍内閣を信任しない第四の理由は、過労死を増やしかねない裁量労働制や高度プロフェッショナル制度の導入を図ったことです。裁量労働制に関しては、予算委員会の審議を通じ、根拠となるデータがねつ造されていたことが判明しました。働き方改革関連法案から裁量労働制が外されたのは当然のことでした。しかし、「スーパー裁量労働制」とも言える高度プロフェッショナル制度は残りました。「全国過労死を考える家族の会」や労働団体は、高プロ制度に強く反対しています。衆議院厚生労働委員会の参考人質疑において「過労死家族の会」の寺西笑子(えみこ)さんは、高プロ制度は「長時間労働に陥り、過労死の発生を促進する危険性が 非常に高い。過労死をしても自己責任になる仕組みになっている」と指摘しました。高度プロフェッショナル制度は、いわば「定額働かせ放題」と言える制度です。働かせる側に有利な労働法改悪であり、過労死を促進する結果になるでしょう。
「全国過労死家族の会」のご遺族の皆さんが安倍総理に面会を申し入れました。しかし、安倍総理はそれを断りました。働かせる側の企業経営者の声ばかりに耳を傾け、過労死ご遺族の声にはまったく耳を貸さない。そんなことで本当にいいのでしょうか。安倍総理には、愛する人を過労死で失った人たちの真摯な訴えに耳を傾ける良心はないのですか。「過労死」は外国語に訳しようがないため、そのまま「karoshi」という国際語になっています。日本以外の国ではほとんど見られない 過労死を促進する高度プロフェッショナル制度を導入した日本。どこが「美しい国」ですか。安倍総理のめざす国は、過労死を許容し、金儲けのためなら労働者を「定額働かせ放題」で働かせる「醜い国」ではないでしょうか。
安倍総理を信任しない第五の理由。それは金儲けのためなら何でもあり、人を不幸にしてでも経済を成長させようという卑しい経済政策を続けてきたことです。カジノ法案はその最たる例です。安倍総理がカジノ議連の最高顧問だったことは承知していますが、カジノ解禁は「美しい国」にふさわしい政策でしょうか。カジノが儲かると、経済は成長するかもしれません。しかし、それで多くの人が不幸になるなら、何のための経済成長でしょうか。経済を成長させるのは、人びとが安心して 幸せに暮らせるようにするためではないでしょうか。株価が上がってGDPが大きくなれば、多くの人が苦しんでも構わないということにはなりません。カジノの儲けはだれかの損失です。ゼロサムゲームのギャンブルで売り上げがあがっても、それで幸福になる人より不幸になる人が多いのであれば、社会的にはまったく価値がありません。また、カジノ解禁でギャンブル依存症の人が増えるのは 目に見えています。ギャンブル依存症、ギャンブルによる借金やそれによる家庭崩壊など、さまざまな不幸を新たに生み出します。国民はカジノ解禁を支持していません。朝日新聞社の世論調査によれば、カジノ法案を今国会で成立させるべきかという質問に対し、「その必要はない」と答えた人が 76%でした。国民の4人に3人が「必要ない」と考えています。カジノ法案を今国会で強引に成立させるのは誤りです。
カジノの他にもアベノミクスの経済政策には人を不幸にするものがいくつもあります。たとえば、ひとつは原発輸出です。世界で自然エネルギーが劇的に増加している時に、非常に危険でコスト高な原発を輸出することは、倫理的にも許されません。経済的に割に合うのかもあやしいものです。ハイリスクの割に感謝されない原発を輸出し、そして、もし損失が出たら、政府保証で救済するというのは、非合理的かつ非倫理的です。
もうひとつの人を不幸にするアベノミクスの例は武器輸出です。自民党の歴代総理大臣が守ってきた武器輸出三原則を捨て去り、海外に積極的に武器を輸出するのは、平和主義への冒涜です。「積極的平和主義」などという偽物の平和主義の象徴が、武器輸出の拡大です。
原発輸出、武器輸出に加えて、カジノ解禁の3つの経済政策は、「アベノミクスの悪の三本の矢」と言えます。日本国民を不幸にするカジノ解禁、そして、不幸を海外に輸出する原発輸出や武器輸出、そんな非倫理的な経済政策はまったく必要ありません。日本の恥です。善悪の基準が麻痺したような邪悪な経済政策はただちにやめるべきです。
以上、安倍内閣を信任しない特に重要な理由を5つあげました。ほかにもまだまだ理由はあります。立憲主義を危機に陥れ、解散権をもてあそび、子どもの貧困を放置し、格差の拡大を助長し、戦後大切にしてきた平和主義をむしばんできた安倍内閣には即刻退陣いただきたいと思います。以上をもちまして安倍内閣不信任決議案への賛成討論といたします。
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