(ヨミドクター(読売新聞)) 15:32
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連日の猛暑で、熱中症になる人が急増している。総務省消防庁によると、16〜22日の1週間に熱中症で救急搬送された人(速報値)は2万人を超え、過去最多となった。今年の日本の暑さには、熱帯から訪れた外国人観光客も苦しんでいる。猛暑は8月上旬まで続く見通しで、気象庁などは熱中症への警戒を呼び掛けている。
夜間救急を受け付ける川越救急クリニック(埼玉県川越市)には、7月に入ってから連日、熱中症患者が絶えない。
23日午後7時頃に来院した同市内の無職男性(64)は中度の熱中症と診断され、点滴を受けた。男性は3日前、近くの山を散策していた際に手足がつり、帰宅後も全身がつった状態が続いた。3日間動けず、やっとのことで来院したという。男性は「きちんと水分もとっていたので、熱中症になるとは思わなかった。油断してはいけないと痛感した」と悔やんだ。
同クリニックによると、今年の熱中症患者は例年の倍以上で、1日に10人以上が来院することもある。例年は日中に屋外で作業する建設業の関係者が多いが、今年は「室内で過ごしていた高齢者」が目立つのが特徴。お茶で水分をとっていた高齢者も多いという。
上原淳院長は「気温が体温より高いと、体の中にたまった熱を発散できず、外気の熱を体に取り込んでしまう。水やお茶では汗で流れた塩分がとれないため、経口補水液やみそ汁などで水分と塩分を同時にとるのが効果的」と指摘する。
東京消防庁によると、東京都内では今月22日時点で、今年の熱中症患者の搬送者数が昨年1年間(3454人)を上回る3544人(速報値)に達した。
新宿区では20日、80歳代の女性がエアコンが故障した部屋で倒れているのが見つかり、その後、死亡が確認された。女性は前日に熱中症で治療を受けており、再度、熱中症になったとみられる。21日には板橋区のマンションで、住人の男性(74)と女性(78)が死亡。窓が閉め切られ、室内の温度は約35度に達していた。
東京都立多摩総合医療センターの清水敬樹・救命救急センター長は「今年は経験したことのないレベルの熱波が続き、重症の熱中症患者が多い。例年と同じ感覚で熱中症対策を取っても不十分だ。出来るだけ日中に外出せず、起床、食事、入浴、就寝などの際、予防的な水分補給を心がけてほしい」と話している。