[ニューヨーク 13日 ロイター] - 米国株式市場は不安定な展開の中、S&P総合500種とダウ工業株30種が下落。米シリコンバレー銀行(SVB)破綻の影響波及を巡る懸念が高まり、銀行株が売られた。同時に、米連邦準備理事会(FRB)が積極的な利上げペースを緩めるという期待から、一部銘柄には買いが入り、ナスダック総合は上昇した。
米規制当局は週末に銀行システムへの投資家の信頼を回復させるための措置に踏み切り、SVBの預金者は13日から預金にアクセスが可能になると発表した。
一部の投資家は、来週のFRBの政策決定が今週発表されるインフレ指標にも左右されるとみている。
オリオン・アドバイザー・ソリューションズのティモシー・ホランド最高投資責任者(CIO)は「消費者物価指数(CPI)と卸売物価指数(PPI)が衝撃的に悪化すれば、FRBはより厳しい状況に追い込まれる」と指摘した。
S&P総合500種は年初来の上昇率が約1%に縮小した。一時は年初来の上げ全てを消す展開だった。
S&P主要11セクターでは、ディフェンシブセクターの公益事業が1.54%高と上げが目立った。金利動向に敏感な不動産、情報技術なども上昇した。
スパルタン・キャピタル・セキュリティーズのチーフ市場エコノミスト、ピーター・カーディロ氏は「市場はFRBが今月利上げを見送り、一時停止期間に入る可能性があるとみている」と語った。
SVBの同業で、規制当局が閉鎖したシグネチャー・バンクは売買停止となった。ナスダックは追加情報の要請が「完全に満たされるまで」売買停止を継続するとした。
バイデン大統領は13日、SVB、シグネチャー・バンクの破綻に絡み演説し、米銀行システムは「安全」と言明し、国民の懸念払拭に努めた。
米中堅銀行ファースト・リパブリック銀行は新たな資金確保を発表したにもかかわらず、61.83%急落した。同業ウェスタン・アライアンス・バンコープ、パックウェスト・バンコープも47.06%、21.05%それぞれ下落。これらの株は数回にわたり売買が停止された。
平均証拠金残高や顧客資産の減少を報告した金融サービス会社チャールズ・シュワブも11.56%の大幅安となり、S&Pを圧迫。
JPモルガン・チェース、シティグループ、ウェルズ・ファーゴといった米銀大手も軒並み下落した。S&P銀行株指数は7%安と2020年6月11日以来最大の下落率を記録した。
米国株投資家の不安心理を示すシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー・インデックス(恐怖指数、VIX)は1.72ポイント高の26.52。一時、昨年10月下旬以来の高水準となる30.81まで上昇した。
製薬大手ファイザーは上昇。がん治療薬を強みとする同業シージェンを約430億ドルで買収すると発表した。
ニューヨーク証券取引所では値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を2.31対1の比率で上回った。ナスダックでも1.63対1で値下がり銘柄数が多かった。
終値 前日比 % 始値 高値 安値 コード
ダウ工業株30種 31819.14 -90.50 -0.28 31819.93 32240.35 31624.87
前営業日終値 31909.64
ナスダック総合 11188.84 +49.96 +0.45 11041.46 11326.73 10982.80
前営業日終値 11138.89
S&P総合500種 3855.76 -5.83 -0.15 3835.12 3905.05 3808.86
前営業日終値 3861.59
ダウ輸送株20種 13974.70 -234.31 -1.65
ダウ公共株15種 901.08 +13.53 +1.52
フィラデルフィア半導体 2921.71 -2.22 -0.08
VIX指数 26.52 +1.72 +6.94
S&P一般消費財 1074.90 +2.47 +0.23
S&P素材 485.89 -5.37 -1.09
S&P工業 830.38 -5.10 -0.61
S&P主要消費財 744.68 +3.51 +0.47
S&P金融 525.63 -20.65 -3.78
S&P不動産 229.83 +3.63 +1.61
S&Pエネルギー 616.47 -12.31 -1.96
S&Pヘルスケア 1457.14 +13.23 +0.92
S&P通信サービス 171.13 +0.42 +0.24
S&P情報技術 2380.00 +13.01 +0.55
S&P公益事業 330.22 +5.02 +1.54
NYSE出来高 15.34億株
シカゴ日経先物6月限 ドル建て 27235 - 415 大阪比
シカゴ日経先物6月限 円建て 27160 - 490 大阪比