ハードバピッシュ&アレグロな日々

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アンリ・ルノー&ヒズ・オーケストラ

2013-05-03 22:22:43 | ジャズ(ヨーロッパ)

これまで何度も取り上げてきた澤野工房に新譜が出たので買ってみました。フランスのピアニスト、アンリー・ルノーが1957年にデュクレテ・トムソンというレーベルに残した1枚だそうです。ルノーと言えば、ルネ・ユルトルジェ、ジョルジュ・アルヴァニタスとともに50年代のフランスを代表するジャズピアニストで、以前当ブログで紹介したクリフォード・ブラウンのパリ・セッションやズート・シムズとの2枚の共演盤(デュクレテ・トムソン盤とUA盤「ズート・シムズ・イン・パリ」)で名を知られています。本作はタイトル通り前半5曲で5人のホーン奏者が加わった小型オーケストラ編成になっています。なお、後半5曲は普通のピアノトリオです。



メンバーはリズム・セクションが全曲ルノーとジャン・ヴァルラン(ベース)、ケニー・クラーク(ドラム)。前半はその3人にビリー・バイヤーズ&シャルル・ヴェルストラート(トロンボーン)、フェルナン・ヴェルストラート(トランペット)、アレン・イーガー(テナー)、ジャン=ルイ・ショータン(バリトン)が加わるオクテット編成です。聴き所はやはり前半部分ですね。曲は全てルノーまたはバイヤーズのオリジナルで、“Meet Quincy Jones”“Dillon”などスイング感たっぷりのビッグバンドサウンドが繰り広げられます。管楽器ではバイヤーズとイーガーが随所でソロを取りますが、あまり主張し過ぎることもなく、うまくアンサンブルに溶け込んでいます。後半はルノーの流麗なソロが堪能できるピアノトリオ。スタンダード曲も演奏していますが、ここでもお薦めは自作曲の“Klook's Clock”“Wallington Special”です。譜面にペンを走らせるジャケットの通り、ルノーの作曲センスが強く感じられる1枚ですね。

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