※当初「確率23分の1」としていましたが、正しくは「26分の1」でしたので、訂正します。(11月11日)
久々に秋田の話題です。
秋田駅東口周辺は区画整理関係の工事が行われていて、同じポイントでも来る度に立入禁止になったり可能になったりしている。
先日、秋田新幹線のホームを正面から見られる場所を見つけた。(現在は工事中で立入できないようだ)
最望遠(300mm相当)で撮影。

プログラムオート F/5.6 1/100 露出-0.3
左の在来線側(6番線)にはレールの運搬か何かの一仕事を終えて車両基地(楢山の秋田車両センター)への引き上げを待つディーゼル機関車、11番線には到着したばかりのこまち、右端の12番線に出発を待つこまちが並んでいる。
日本中で秋田駅でしか見られない光景だと思う。
さて、2本の「こまち」(E3系電車)の見かけの違いにお気づきだろうか?
こまちは26本の車両があるが、写真のどちらかは他の25本と外観に大きな違いがある1本だけ存在する“珍しい”こまちだ。
(答えはもう少し下です)
こまちの車両は、4度に分けて導入されている。うち、2~4度目に導入された車両は(量産車)、座席などの内装や走行に関わる電気系統に違いはあるが、外観はほぼ同じ。しかし、開業の2年前、1995年に試作的な車両(量産先行試作車)として一足早く導入された車両は、外観が大きく違う。試験走行で得られた改良すべき点を量産車の設計・製造に反映させ、試作車自身も改造できる点は変えたのだが、外観までは変えなかったわけだ。
「祝・秋田新幹線開業」といったポスターや広告類の写真や絵には、この量産先行試作車がよく使われた。
26本の「こまち」用車両はR1からR26までの番号を付けてそれぞれを区別して管理されているが、量産先行試作車は、「R1編成」と呼ばれ、運転席の窓などに「R1」と表示がある。
R1編成も他の25本と共通で使用されているから、たまたま「こまち」の車両を見て、それがR1編成である確率は26分の1(定期検査などで抜けた車両があればやや高くなるが、R1編成自体が検査に入ってしまえば確率0)。

プログラムオート F/5.6 1/125 露出-0.3
東京行きが発車。11番線の電車も車両センターへ帰るために前照灯(ヘッドライト)を点けた。(絶妙のタイミングで点けてくれた)
この状態なら分かりやすいかもしれない。
正解は、右側が量産先行試作車のR1編成。左が量産車(確かR17編成)。
違いを挙げてみると、
1.前照灯の位置
R1編成は運転席の上に本来の前照灯があり、運転席の下“鼻筋”に補助的なHID(車のディスチャージヘッドランプなどと呼ばれるのと同じもの。JR東日本の車両で初採用)があって分散している。量産車では2つをまとめて運転席下、R1編成のHIDよりやや低い位置に設置されている。
尾灯(テールランプ)もR1編成は運転席の上、量産車は運転席下。
2.先頭のデザイン
R1編成は、先に行くほど細くなっていて、“とがって”いるが、量産車は鼻先までほぼ同じ太さで直線的。(鼻筋の黒い部分を見ると分かりやすい)
なお、写真の量産車はワイパーが2本だが、初期製造の量産車はR1編成と同じく1本。
デザイン的な部分はともかく、ライトの位置が違うというのは、現場ではどう受け取られているのか気になる。特に踏切や通過駅があり、真っ暗な山間部の夜、霧や猛吹雪の時も高速で走行する在来線区間では、運転席の上から照らすのと下で照らすのとでは感覚が狂ったりしないのだろうか。
こまちには2013~2014年頃をめどに、時速300km/h以上の高速に対応した(現在は275km/h)の新型車両の導入が計画されているらしいが、そうなった場合、真っ先に廃車対象となるのが、古いR1編成だろう。
僕はおそらく3回R1編成に乗ったことがあるが、うち2回は初めて乗ったこまちと元日の夜に東京から秋田まで4時間立ち通しだったという思い出深い乗車の舞台だったから、思い入れがある。
量産車は精悍な顔つきだが、R1編成はちょっととぼけた表情に見えて愛嬌がある。全部同じに見えるこまちの中で、際立った個性のある車両なので、駅や沿線でこまちを見かけると「R1編成かも」と意識してしまい、それが26分の1で本当にR1編成だとうれしくなる。

プログラムオート F/5.6 1/160 露出-0.3
後姿。最後尾の11号車ははやて(E2系)との連結器があるグリーン車。尾灯が屋根上にある。
【2010年2月8日追記】この記事が地元新聞に引用されたようだ。こちらで紹介しています
【2013年6月19日追記】2013年春からの後継車両「E6系」の導入に伴って、E3系の引退・廃車が進んでいて、R1編成よりも新しい車両がいくつか先に廃車されている。
R1編成は2013年7月20日の「こまち36号」がこまちとしてのラストランになる(※東京で折り返して「やまびこ215号」になり、それが真の最終列車となると考えられる)ことが発表された。その後の処遇は不明。
【2013年7月21日追記】R1編成の引退を伝える新聞(地元紙、全国紙秋田版)では、R1編成の特徴の1つに「ワイパーが1本だけであること」を挙げている。
しかし、上記の通り、ワイパーが2本あるのはR17~R26編成の秋田新幹線用のE3系としては後期に製造されたグループだけ。したがって、26本ある(あった)R編成の半分以上がワイパー1本の編成なので、ワイパーが1本なのをR1編成の特徴とするのは適切ではない。
久々に秋田の話題です。
秋田駅東口周辺は区画整理関係の工事が行われていて、同じポイントでも来る度に立入禁止になったり可能になったりしている。
先日、秋田新幹線のホームを正面から見られる場所を見つけた。(現在は工事中で立入できないようだ)
最望遠(300mm相当)で撮影。

プログラムオート F/5.6 1/100 露出-0.3
左の在来線側(6番線)にはレールの運搬か何かの一仕事を終えて車両基地(楢山の秋田車両センター)への引き上げを待つディーゼル機関車、11番線には到着したばかりのこまち、右端の12番線に出発を待つこまちが並んでいる。
日本中で秋田駅でしか見られない光景だと思う。
さて、2本の「こまち」(E3系電車)の見かけの違いにお気づきだろうか?
こまちは26本の車両があるが、写真のどちらかは他の25本と外観に大きな違いがある1本だけ存在する“珍しい”こまちだ。
(答えはもう少し下です)
こまちの車両は、4度に分けて導入されている。うち、2~4度目に導入された車両は(量産車)、座席などの内装や走行に関わる電気系統に違いはあるが、外観はほぼ同じ。しかし、開業の2年前、1995年に試作的な車両(量産先行試作車)として一足早く導入された車両は、外観が大きく違う。試験走行で得られた改良すべき点を量産車の設計・製造に反映させ、試作車自身も改造できる点は変えたのだが、外観までは変えなかったわけだ。
「祝・秋田新幹線開業」といったポスターや広告類の写真や絵には、この量産先行試作車がよく使われた。
26本の「こまち」用車両はR1からR26までの番号を付けてそれぞれを区別して管理されているが、量産先行試作車は、「R1編成」と呼ばれ、運転席の窓などに「R1」と表示がある。
R1編成も他の25本と共通で使用されているから、たまたま「こまち」の車両を見て、それがR1編成である確率は26分の1(定期検査などで抜けた車両があればやや高くなるが、R1編成自体が検査に入ってしまえば確率0)。

プログラムオート F/5.6 1/125 露出-0.3
東京行きが発車。11番線の電車も車両センターへ帰るために前照灯(ヘッドライト)を点けた。(絶妙のタイミングで点けてくれた)
この状態なら分かりやすいかもしれない。
正解は、右側が量産先行試作車のR1編成。左が量産車(確かR17編成)。
違いを挙げてみると、
1.前照灯の位置
R1編成は運転席の上に本来の前照灯があり、運転席の下“鼻筋”に補助的なHID(車のディスチャージヘッドランプなどと呼ばれるのと同じもの。JR東日本の車両で初採用)があって分散している。量産車では2つをまとめて運転席下、R1編成のHIDよりやや低い位置に設置されている。
尾灯(テールランプ)もR1編成は運転席の上、量産車は運転席下。
2.先頭のデザイン
R1編成は、先に行くほど細くなっていて、“とがって”いるが、量産車は鼻先までほぼ同じ太さで直線的。(鼻筋の黒い部分を見ると分かりやすい)
なお、写真の量産車はワイパーが2本だが、初期製造の量産車はR1編成と同じく1本。
デザイン的な部分はともかく、ライトの位置が違うというのは、現場ではどう受け取られているのか気になる。特に踏切や通過駅があり、真っ暗な山間部の夜、霧や猛吹雪の時も高速で走行する在来線区間では、運転席の上から照らすのと下で照らすのとでは感覚が狂ったりしないのだろうか。
こまちには2013~2014年頃をめどに、時速300km/h以上の高速に対応した(現在は275km/h)の新型車両の導入が計画されているらしいが、そうなった場合、真っ先に廃車対象となるのが、古いR1編成だろう。
僕はおそらく3回R1編成に乗ったことがあるが、うち2回は初めて乗ったこまちと元日の夜に東京から秋田まで4時間立ち通しだったという思い出深い乗車の舞台だったから、思い入れがある。
量産車は精悍な顔つきだが、R1編成はちょっととぼけた表情に見えて愛嬌がある。全部同じに見えるこまちの中で、際立った個性のある車両なので、駅や沿線でこまちを見かけると「R1編成かも」と意識してしまい、それが26分の1で本当にR1編成だとうれしくなる。

プログラムオート F/5.6 1/160 露出-0.3
後姿。最後尾の11号車ははやて(E2系)との連結器があるグリーン車。尾灯が屋根上にある。
【2010年2月8日追記】この記事が地元新聞に引用されたようだ。こちらで紹介しています
【2013年6月19日追記】2013年春からの後継車両「E6系」の導入に伴って、E3系の引退・廃車が進んでいて、R1編成よりも新しい車両がいくつか先に廃車されている。
R1編成は2013年7月20日の「こまち36号」がこまちとしてのラストランになる(※東京で折り返して「やまびこ215号」になり、それが真の最終列車となると考えられる)ことが発表された。その後の処遇は不明。
【2013年7月21日追記】R1編成の引退を伝える新聞(地元紙、全国紙秋田版)では、R1編成の特徴の1つに「ワイパーが1本だけであること」を挙げている。
しかし、上記の通り、ワイパーが2本あるのはR17~R26編成の秋田新幹線用のE3系としては後期に製造されたグループだけ。したがって、26本ある(あった)R編成の半分以上がワイパー1本の編成なので、ワイパーが1本なのをR1編成の特徴とするのは適切ではない。