広く浅く

秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

聖愛の活躍

2013-08-11 23:44:36 | 津軽のいろいろ
当ブログでは非常に珍しい、スポーツの話題。
「全国高等学校野球選手権大会」いわゆる夏の甲子園が行われている。
出場選手や学校にはがんばってもらいたいが、個人的には、あまたある高校スポーツの中で、なぜ男子の硬式野球だけがもてはやされるのか、朝日新聞社が主催する大会をなぜNHKが全国向けに完全生中継するのか、(夏休みだからではあろうが)お盆を含むいちばん暑い時期に暑い場所でなぜ開催するのか、等々理解に苦しむ点もある。
だけど、あえて記事にしたいのが、青森代表・弘前学院聖愛(せいあい)の活躍。


今日の第3試合では、聖愛が岡山の玉野光南を6対0で下し、2回戦進出を果たした。
弘前学院聖愛は、今回が春夏通して初出場。県大会では、甲子園経験がある並み居る強豪校に勝って甲子園へ進み、初戦を圧勝で突破したことになる。


青森県外の人が今日の結果を見れば、「“せいあい”なんて聞いたことがない学校」と思うかもしれないし、あるいは「近年の他の青森の私立学校同様、青森県外から優秀な部員を集めているんだろう」という感想を持つかもしれない。
前者は至極当然なことで、後者は誤解である。

弘前学院聖愛は、正式には「弘前学院聖愛中学高等学校」。
プロテスタント系の学校で、弘前市内の別の場所にある「弘前学院大学」と同じ法人の運営だが、「附属」という名称は付かないようだ。(1980年から2005年までは中学校はなかったそうだ)
長らく女子校で、共学になったのは2000年から。したがってそれ以前に弘前にいた僕のような者は、聖愛=女子高のイメージが強く、(共学化されたのは知っていたが)甲子園出場を知った時は驚いた。
野球部は共学化の時に創部したので、わずか13年で甲子園出場を果たしたのだ。

それから、今日のNHKの中継によれば「選手すべてが津軽出身」とのこと。※「青森(県)」ではなく「津軽」と言っていたので、弘前周辺限定ということなんだろう。
監督も弘前の人のようだ。【12日追記】コメントの通り、出身は旧金木町(現・五所川原市)の人とのこと。

したがって、聖愛の活躍を秋田で例えれば、「聖霊高校が(仮に)共学化して13年で、秋田の生徒だけで甲子園に出場して初戦突破した」みたいなことで、すごいことじゃないでしょうか。※ちなみに聖愛はプロテスタント系で、聖霊はカトリック系。

また、弘前市内の(というか青森、八戸以外の)高校が甲子園に出場するのは、17年ぶりだそうで、これも特筆すべきことだろう。
【13日追記】陸奥新報によれば、さらに「弘前勢として初戦突破は、第73回大会(1991年)の弘実以来22年ぶりという。」とのこと。※「弘実」=県立弘前実業高校。聖愛高校のすぐそばにあり、1992年、1996年にも甲子園に行っている。



聖愛の2回戦以降の活躍も期待するとして、ここで言いたいのは「聖愛」のアクセント。甲子園関係のテレビでは、「弘前学院聖愛」または「聖愛」と呼ばれることが多い。
僕は、秋田の「聖霊(せいれい)」と同じように、平板に発音すると思っていた。

しかし、出場が決まった時のNHKの全国ニュースでは、「幽霊」とか「UFO」のように最初にアクセントを置いていて、あれっと思ってしまった。
だけど、NHKでも別のアナウンサーは平板のアクセントで、人によってまちまち。
※以下、2つのアクセントを「平板」と「幽霊式」と表記します。

今日のNHKの実況を担当した福澤浩行アナウンサーは、平板。
ネットでダイジェストを見た、大阪の朝日放送(ローカルやBS朝日で放送しているものか)のアナウンサーは、平板と幽霊式を両方使っていた。
全般に独特の抑揚がある甲子園の場内アナウンスは、平板で「聖愛高校」のようだった。(場内アナウンスでは「高校」を付けるみたいだ)
ネットで見た青森テレビや青森朝日放送のニュースでは、幽霊式。

ということは、地元青森では幽霊式に発音しているのだろうか。僕が弘前にいた頃、地元の人がどう呼んでいたか、記憶にないけれど。
津軽のイントネーションやアクセントはとても独特で、それを思えば地元では「幽霊」式のアクセントが標準の可能性もなくはない。
でも、幽霊式アクセントの人でも、「聖愛」に続く言葉(例えば聖愛高校、聖愛ナインなど)によって平板アクセントにならざるを得ない場合(幽霊式では、抑揚が激しくておかしくなる)があり、統一感がない気もする。
【12日追記】いただいたコメントの通り、弘前では幽霊式のアクセントが標準のようだ。


当ブログでは、秋田の地名(男鹿など)や食べ物の「おやき(信州のとは違う)」を取り上げたように、地名、人名あるいはその土地にしかない産物などの固有名詞が思いもよらないアクセントで、よそ者が戸惑うことがある。
アクセントを聞けば、地元の人か、よその人か判別できてしまう。やっぱりアクセントって難しい。



アクセントから話が逸れていくつか。
甲子園球場のスコアボードでは、両校の学校名は「聖愛」「玉野光南」という表示。NHKの画面右下のスコア表示は「弘前聖愛」「玉野光南」だった。
スコアボードでも「弘前」を付けたほうが分かりやすい気もするが、何か決まりでもあるのだろうか。

聖愛の応援団が吹奏楽で演奏していた曲は、「ルパン三世のテーマ」と「リンゴの唄」が聞こえてきた。
リンゴの唄は津軽らしいといえば津軽らしい。聖愛高校の周囲にはリンゴ畑が広がっているし。
でも、弘前の学校ならば、弘前出身の作曲家・菊池俊輔氏の曲を採用したらいいのに。「暴れん坊将軍のテーマ」やDr.スランプ アラレちゃんの「ワイワイワールド」は、他県・他校の応援でもよく耳にする。

試合終了後、甲子園で初めて流れた聖愛高校の校歌。
流されたものは男声の合唱だったが、歌そのものは1922(大正11)年に「弘前女学校校歌」として制定された前身の女子校時代のものがそのまま使われているようだ。(学校によっては共学化に伴って新たに作ったり、一部を改変することもある)
そう思えば、キリスト教系らしく、元女子校らしい、優しい歌に聞こえた。
NHKのテロップでは「作詞 宮崎きみ/編曲 浅野ふみ」と、作曲者が表示されなかった。
これは学校の公式ページでも同じで、「原曲は宣教師が愛唱していた故郷の学生歌であったと考えられています」のが理由のようだ。作曲者不詳ということか。


【2021年8月21日追記】この後は2021年に甲子園出場を果たしたが、初戦敗退。
NHKの実況の冨坂和男アナウンサーは、幽霊式のアクセント。その後の仙台放送局の東北ブロックニュースでは平板。
コメント (21)
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