広く浅く

秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

新城川通水

2015-05-27 23:09:57 | 秋田の地理
川の話題が3連続してしまいますが、たまたまです。
土淵川、旭川に続く今回は、秋田市北部を流れる「新城川(しんじょうがわ)」。毎年のように起こる洪水対策のため、一部で新しい場所に川を移す付け替え工事が行われていた。
それに伴って、JR奥羽本線国道7号線の橋を新たに架ける必要が生じ、それぞれ大掛かりな工事がされている模様を2011年に記事にしていたけれど、それっきりだった。

2011年の時点では、道路、鉄道とも仮の橋へ迂回していた。
その後、じっくり見る機会がなく、たまに通ると工事が進んでいることは分かっていた。
2013年3月 奥羽本線(仮線)の車窓から下流側
本来の(=仮でない)線路上の、将来川になる位置に、先に橋ができていた。

2013年11月には、道路、線路とも、本来の位置の新しい橋を使うようになっていた。国道は2013年9月11日に「飯島橋」として開通。
2013年11月 新しい橋部分を走る奥羽本線車窓から上流側 ※右奥の赤白の構造物は送電線の鉄塔。火力発電所の煙突は下流側。
上の写真手前の土の部分が、仮線の跡。その向こうに既に新しい川が掘られているが、手前も奥もまだせき止められているようだ。

2014年7月 奥羽本線車窓から下流側 ※こちらの右奥が火力の煙突。この位置では3本がほぼ重なる
上の写真が国道の飯島橋。下が新しい新城川で、ほぼ完成しているように見えた。

2015年4月 奥羽本線車窓から下流側
こちらは古いほうの新城川。今春の時点で、まだ普通に川として機能している感じ?
青い水道管か何かの橋の向こうが7号線の橋で「新城川橋」。右奥に新しい川に架かった飯島橋が見えている。

古い新城川に比べて新しい新城川は、普段の水の量からすれば広すぎるほど、河川敷が幅広く取られたのが分かる。
かつて、ここの線路から1キロほど先の土崎消防署飯島出張所付近までの田んぼが、一面水びたしだったのを見たことがあったけれど、こうでないと防げないのだろう。



以上のような状況だということは、もう新城川は新しいほうへ移ったの?
でも、古いほうにもまだ水が流れているし…
秋田市中央部へは、新城川に関する情報はほとんど聞こえてこない。

と思っていたら、5月28日・木曜日に「新城川通水記念式典」が挙行されるのが分かった。
県知事、秋田市長、県議会副議長なども出席し、現地(ここより上流側の下新城笠岡地内)で行われる。

ちなみに、5月28日は元AABアナウンサーによれば、67%の率で晴れが出現する「秋田でもっとも晴れやすい日」。ちなみに、六曜では友引。
実際に晴れそうで、いい日を選びましたね。

ということは、既に新しい川に水が流れているけれど、今日まではまだ川じゃない扱いなのだろうか? それとも、式典を後回しにしていたのか。

1938(昭和13)年に雄物川放水路が開通した時は、爆破作業で川が開通する瞬間をとらえたモノクロ写真が残っていて、小学校の副教材で見て衝撃的だった。(写真は国交省のサイト等に掲載されていて、動画もある)
そのイメージがあるのか、式典の時にもう新しい川が機能しているというのは、ちょっと拍子抜け。(この小ささの川でこの立地で、爆破なんかやるわけはないけど。)
式典ではテープカットでもやるんだろうか? 「川が開通する」という事態はそうあることではないので、興味深い。明日以降の報道に期待。
【29日追記】29日付秋田魁新報 秋田市地域面で、詳しく報道された。式典開催の場所は「川沿いの駐車場」とあるが、写真からすれば新しい笠岡橋の上流右岸と思われる(詳細は後日アップの現地レポートにて)。
下新城小6年生18人による太鼓演奏の後、テープカットとくす玉を割り、式典に続いて、地元住民でつくる新城川改修促進期成同盟会と市が祝賀会を開催。
今回の通水式典の対象区間は、国道付近から笠岡までの2.35キロ。ほかに国道から河口まで2.0キロが1968~1990年度に改修済み。笠岡から上流の岩城、槻ノ木地区など2.3キロも改修が計画されているが、完成の見通しは立っていないとのこと。



さて、となると疑問なのは、(公式の)通水後、古い川はどうなるのか。
「付け替え」というぐらいだから、新旧共存することはなさそう。じゃあ、埋めるのか?

実は、大型連休前後に“現地調査”を行って、判明していた。
付け替え工事は、国道や線路がある飯島地区だけでなく、上流の下新城地区でも行われた。
洪水時に、農村部っぽい狭い道や住宅が水浸しになっている、あるいはあふれる寸前なのが報道されるのが、下新城笠岡付近(式典もここでやるらしい)。そこでは、
下新城小学校近くの「笠岡橋」の歩道用橋から上流方向
既に古い川を埋め立てる工事が進んでいた。
埋め立てられているということは、下新城笠岡付近では、通水記念式典前に既に古い川が川としての機能を失っていることになる。
古い川の橋は撤去するか、旧川に流れこむ用水路をどうするのか、埋めた跡をどう活用するのか、未着工の飯島側でもやるのか、やるのなら奥羽本線と国道の橋も撤去するのか、等は不明。

まったくよそ者の感想としては、以前は農村部の生活の場をかすめるような小さな川が、その裏の田んぼの中を抜ける広い川に変わってしまい、同じ川だとは思えない光景。古い川が埋められるのは、せっかくの景観が失われて惜しい気もする。
しかし、以前の川幅の狭さでは洪水が起きるのは当然。やっと安心できるようになったとも思うべきだろう。




地理院地図やGoogleなどの各地図サイトでは、現時点では古い川だけで新しい川は表示されていないものの、Googleの航空写真でははっきりと新しい川が分かる。
【29日追記】コメント欄の通り、28日にGoogleマップで飯島地区(下の画像の範囲)に新しい川が表示された。古い川もそのまま掲載。ただし、上新城地区では、新しい川が細い小川のように表示され、正確ではない。マピオンや地理院地図は未更新。
Googleマップと航空写真より作成。左が国道7号と奥羽本線、右上に少し見えるのが横金線(ここでは市道)


新城川は一級河川。昨日も触れたように、一級河川は本来は国管理であるが、指定した区間は都道府県に管理を委託できる。
実際には、旭川とか弘前の土淵川とかのように、支流の多くは県管理となっているようだ。
新城川も県管理で、この付け替え工事も県が行い、影響を受ける市道の橋も県が架けたようだ。(国道やJRはそれぞれも関わるのかな?)

ちなみに、新城川は「雄物川水系」で雄物川の支流の扱い。
秋田市中央部の者としては地理的にピンと来ない。地図を見ると、新城川は日本海に直接ではなく、秋田港の中みたいな所に注いでいる。秋田港は秋田運河(旧雄物川)とつながっていて、上記雄物川放水路ができる前は雄物川の本流だったから、その名残なんだろうか。
一級河川の支流は全部一級河川になるが、新城川を雄物川水系に入れないと単独の川になり、二級河川扱いになってしまうかも。【28日追記・二級河川だとしても管理は県】


現地レポートは後日また
コメント (2)
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