統一地方選挙で、21日投票の秋田市議会議員選挙が行われている。
秋田市の期日前投票については、2009年に取り上げたが、現在もおおむね同じ。
以前は不在者投票制度しかなかったところに、要件を緩和したより簡易な期日前投票の制度ができたのが2003年。
秋田市に限らず秋田県は、全国的に見て期日前投票の割合が多い。
市街地や商業施設に時間を延長した期日前投票所を設けるなど各市町村が積極的なことと、「(投票日当日の地域ごとの)投票所でご近所さんに会って、誰に投票したか詮索されたくない」と考える有権者が多いからという説もある。
期日前投票をするには「宣誓書」を提出しないといけない。
宣誓書には、当日投票できない理由を示す欄がある。「真実であることを誓います」などの文言もあり、初めて見る人は、期日前投票後にその理由がなくなってしまったら(例えば仕事や外出の予定がキャンセルされたら)どうしようと、身構えるかもしれない。
でも大丈夫。
宣誓書は「当日投票できない“見込み”であること誓う」もの。「見込み」だから、後でそれが解消されても構わない。
適当に仕事か外出の欄辺りにマルを付けて期日前投票しても、問題はないだろう。棄権するよりも。
さて、投票所入場券は、市町村によってだいぶ違いがあるようだ。
圧着ハガキもしくは封書、かつ切り取り式になっていて、1通で同じ世帯の複数人分が届くところもある。
秋田市では1人につきハガキ1通で、宛名面が入場券、通信面が期日前投票の案内と宣誓書という構成。期日前投票に力を入れているということか。(1通複数人方式でも宣誓書を兼ねている自治体もあるそうだ)
今回の秋田市の通信面
2009年の写真を見ると、通信面を縦長に使っているが、いつの間にか横長に変わっていた。
今回、期日前投票をしようと、宣誓書を記入してから改めて眺めると、気がついた。
理由の欄が5項目あるのだが、番号は1番から6番まで。4番が飛んでいる!
単なる誤植ではなさそう。
秋田市以外の市町村でも、同じ並びで4番を飛ばしているところが少なくないのだった。
何番はこの理由と、常に組み合わせが決まっていて、今回の選挙では4番に該当する人が存在し得ないから、項目ごと削除したのかと思った。
その4番は何?
調べてみた。
この番号と内容は、期日前投票の事由を定めた、公職選挙法48条の2の第1項第1号から第6号と対応しているのだった。
つまり条文の第4号が何か、ということになる。
「四 交通至難の島その他の地で総務省令で定める地域に居住していること又は当該地域に滞在をすること。」
なるほど。秋田には島はないし、「その他の地」とするほど「交通至難」な場所はないだろう。
もし、秋田市民が投票日にそういう島や地域に滞在していたとすれば、それは仕事、冠婚葬祭、旅行など、他の項目の理由になるだろうし。
ちなみに、山形県でこの項目に該当するのは、酒田市飛島だけとのこと。
今回の選挙に限らず、秋田市では、4番はあり得ないのだった。秋田県内他市町村、さらに全国の大多数の市町村でも同様だろう。
秋田市のように、法の条文と対応させて4番を欠番とする自治体も多いものの、別にアイウやABCを割り当てたり、数字や記号なしに印を記入する空欄を設けたりしている自治体もあった。
ところで、条文では「一 職務若しくは業務又は総務省令で定める用務に従事すること。」とあるが、宣誓書にそのまま転載している自治体は、おそらくない。どこも、分かりやすく簡潔な表現にしているが、表記はまちまち。※以下、ネットで画像検索したもの。古いもので現在は変更された可能性あり。
秋田市、新潟県長岡市、愛知県武豊町では「仕事・学業・冠婚葬祭」これが多数派か。
長野県諏訪市の「仕事、学業、地域行事の役員、本人又は親族の冠婚葬祭、その他」のようなのも多い。
茨城県日立市は「仕事・学業など」、神戸市は「仕事等/出勤、出張、本人又は親族の冠婚葬祭に従事」と、簡素だったり詳しかったりするものも。
3番目では、健康状態を理由とするように受け取れるが、条文では留置場や少年院等に入っている場合も含まれる(禁固刑以上は選挙権が停止されるから、刑務所は含まれないはず)。
宣誓書でそのことに触れた自治体は、かなり少ない。該当者は少ないだろうし、健康状態といっしょにされてしまうことへの配慮があるのかもしれない。
秋田市のように、項目を選ぶだけで、文字を記入する必要がない自治体は多いが、文字を書かせる自治体もある。
「その他」があったり、4番目の交通至難の島その他の地がどこなのかを具体的に書かせたり。それは分かる。
2番目の旅行や外出の目的地が、当該市町村以外なのか、市町村内であればどこなのかを選択・記入させる自治体もある。
全国的に見て「厳しい」と感じたのは千葉市。今年4月7日の選挙用の記入例がサイトにあった。
千葉市の宣誓書記入例より抜粋
5項目を選ぶだけでなく、その中でさらにどれに該当するかを選ばせられる。
1番目なら、仕事、学業、地域の行事の役員、本人又は親族の冠婚葬祭、その他のどれかにマルを付けないとならない。
上記、2番目の目的地も書かされるが、注記欄に「住所の属する投票区の区域外に外出・旅行・滞在することを要します。」だそうだ。隣近所なら認められないが、隣の隣の町くらいならいいということになるか。
ここまで厳密に理由を示させる必要があるのだろうか。このくらい厳格にやるのが本来なのかもしれないが、他の多くの自治体ではやっていないのに。
期日前投票を、あるいは選挙の投票そのものをしたい有権者の気持ちをそいでしまうと思う。問い合わせ対応や確認といった事務作業も増え、期日前投票所の混雑につながるかもしれない。
こんな状態では、千葉市の期日前投票率は、高くないのではないだろうか。
※2021年の秋田市の投票所入場券・宣誓書。
※2023年に秋田市の宣誓書が少し変わり、千葉市も変わっていた。
秋田市の期日前投票については、2009年に取り上げたが、現在もおおむね同じ。
以前は不在者投票制度しかなかったところに、要件を緩和したより簡易な期日前投票の制度ができたのが2003年。
秋田市に限らず秋田県は、全国的に見て期日前投票の割合が多い。
市街地や商業施設に時間を延長した期日前投票所を設けるなど各市町村が積極的なことと、「(投票日当日の地域ごとの)投票所でご近所さんに会って、誰に投票したか詮索されたくない」と考える有権者が多いからという説もある。
期日前投票をするには「宣誓書」を提出しないといけない。
宣誓書には、当日投票できない理由を示す欄がある。「真実であることを誓います」などの文言もあり、初めて見る人は、期日前投票後にその理由がなくなってしまったら(例えば仕事や外出の予定がキャンセルされたら)どうしようと、身構えるかもしれない。
でも大丈夫。
宣誓書は「当日投票できない“見込み”であること誓う」もの。「見込み」だから、後でそれが解消されても構わない。
適当に仕事か外出の欄辺りにマルを付けて期日前投票しても、問題はないだろう。棄権するよりも。
さて、投票所入場券は、市町村によってだいぶ違いがあるようだ。
圧着ハガキもしくは封書、かつ切り取り式になっていて、1通で同じ世帯の複数人分が届くところもある。
秋田市では1人につきハガキ1通で、宛名面が入場券、通信面が期日前投票の案内と宣誓書という構成。期日前投票に力を入れているということか。(1通複数人方式でも宣誓書を兼ねている自治体もあるそうだ)
今回の秋田市の通信面
2009年の写真を見ると、通信面を縦長に使っているが、いつの間にか横長に変わっていた。
今回、期日前投票をしようと、宣誓書を記入してから改めて眺めると、気がついた。
理由の欄が5項目あるのだが、番号は1番から6番まで。4番が飛んでいる!
単なる誤植ではなさそう。
秋田市以外の市町村でも、同じ並びで4番を飛ばしているところが少なくないのだった。
何番はこの理由と、常に組み合わせが決まっていて、今回の選挙では4番に該当する人が存在し得ないから、項目ごと削除したのかと思った。
その4番は何?
調べてみた。
この番号と内容は、期日前投票の事由を定めた、公職選挙法48条の2の第1項第1号から第6号と対応しているのだった。
つまり条文の第4号が何か、ということになる。
「四 交通至難の島その他の地で総務省令で定める地域に居住していること又は当該地域に滞在をすること。」
なるほど。秋田には島はないし、「その他の地」とするほど「交通至難」な場所はないだろう。
もし、秋田市民が投票日にそういう島や地域に滞在していたとすれば、それは仕事、冠婚葬祭、旅行など、他の項目の理由になるだろうし。
ちなみに、山形県でこの項目に該当するのは、酒田市飛島だけとのこと。
今回の選挙に限らず、秋田市では、4番はあり得ないのだった。秋田県内他市町村、さらに全国の大多数の市町村でも同様だろう。
秋田市のように、法の条文と対応させて4番を欠番とする自治体も多いものの、別にアイウやABCを割り当てたり、数字や記号なしに印を記入する空欄を設けたりしている自治体もあった。
ところで、条文では「一 職務若しくは業務又は総務省令で定める用務に従事すること。」とあるが、宣誓書にそのまま転載している自治体は、おそらくない。どこも、分かりやすく簡潔な表現にしているが、表記はまちまち。※以下、ネットで画像検索したもの。古いもので現在は変更された可能性あり。
秋田市、新潟県長岡市、愛知県武豊町では「仕事・学業・冠婚葬祭」これが多数派か。
長野県諏訪市の「仕事、学業、地域行事の役員、本人又は親族の冠婚葬祭、その他」のようなのも多い。
茨城県日立市は「仕事・学業など」、神戸市は「仕事等/出勤、出張、本人又は親族の冠婚葬祭に従事」と、簡素だったり詳しかったりするものも。
3番目では、健康状態を理由とするように受け取れるが、条文では留置場や少年院等に入っている場合も含まれる(禁固刑以上は選挙権が停止されるから、刑務所は含まれないはず)。
宣誓書でそのことに触れた自治体は、かなり少ない。該当者は少ないだろうし、健康状態といっしょにされてしまうことへの配慮があるのかもしれない。
秋田市のように、項目を選ぶだけで、文字を記入する必要がない自治体は多いが、文字を書かせる自治体もある。
「その他」があったり、4番目の交通至難の島その他の地がどこなのかを具体的に書かせたり。それは分かる。
2番目の旅行や外出の目的地が、当該市町村以外なのか、市町村内であればどこなのかを選択・記入させる自治体もある。
全国的に見て「厳しい」と感じたのは千葉市。今年4月7日の選挙用の記入例がサイトにあった。
千葉市の宣誓書記入例より抜粋
5項目を選ぶだけでなく、その中でさらにどれに該当するかを選ばせられる。
1番目なら、仕事、学業、地域の行事の役員、本人又は親族の冠婚葬祭、その他のどれかにマルを付けないとならない。
上記、2番目の目的地も書かされるが、注記欄に「住所の属する投票区の区域外に外出・旅行・滞在することを要します。」だそうだ。隣近所なら認められないが、隣の隣の町くらいならいいということになるか。
ここまで厳密に理由を示させる必要があるのだろうか。このくらい厳格にやるのが本来なのかもしれないが、他の多くの自治体ではやっていないのに。
期日前投票を、あるいは選挙の投票そのものをしたい有権者の気持ちをそいでしまうと思う。問い合わせ対応や確認といった事務作業も増え、期日前投票所の混雑につながるかもしれない。
こんな状態では、千葉市の期日前投票率は、高くないのではないだろうか。
※2021年の秋田市の投票所入場券・宣誓書。
※2023年に秋田市の宣誓書が少し変わり、千葉市も変わっていた。