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田中澄江著 「夫の始末」

2017年03月31日 18時34分51秒 | 読書記

図書館から借りていた 田中澄江著 「夫の始末」大活字本)を 読み終えました。

表題「夫の始末」には 一瞬 ギョッとしてしまいますが 個性強く、パワフル、有る面 自己中心的な考えの持ち主 劇作家・小説家 絹の 生き様を描いた 4作品が収められている書です。
は 著者 田中澄江自身であること自明であり 著者自身の赤裸々な生き様を描いた 自伝的小説ということになるんでしょうか。

母親から 「結婚すると 女は不幸になる。一生独身でいるのが良い」と言われていたが 敢然と結婚。
やはり 個性の強い夫(著者の夫 田中千壬夫であること自明ですが) 動と静、葛藤、衝突、次々重なる不幸な事態、
「どこまでつづくぬかるみぞ」の結婚生活、それを逞しく乗り越えようとする姿が 描かれています。

著者 田中澄江は 随筆集「花の百名山」でも 知られている通り 山に対する憧憬は深く 登頂踏破 800座に及んだようですが 物語の随所に その山行の顛末等も 書かれています。

夫婦の在り方について 主人公 は 揺れながらも 夫と 張り合って 晩年を迎えますが 「夫の病気」の最後の文章で 夫は 「黙ってその痩せて背骨の見える背中を 絹の手に任せていた」 とあり、著者 田中澄江 と 田中千壬夫 夫婦の姿だったに違い有りません。
田中千壬夫は 1995年11月に 90歳で亡くなり 著者 田中澄江も その4年後に 92歳で亡くなっています。

 (大活字本)

「骨の始末」
「花の始末」
「夫の始末」
「夫の病気」

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