たけじいの気まぐれブログ

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藤原緋沙子著 「鳴き砂」

2025年01月29日 22時26分39秒 | 読書記

図書館から借りていた、藤原緋沙子著 「鳴き砂」(廣済堂文庫)を、読み終えた。
本書は、著者の長編時代小説、「隅田川御用帳(すみだがわごようちょう)シリーズ」第15弾の作品で、「第一話 遠い春」「第二話 菜の花」「第三話 鳴き砂」の、連作短編3篇が収録されている。
「隅田川御用帳シリーズ」は、縁切り寺「慶光寺」の御用宿「橘屋」の女主人お登勢(おとせに雇われた、元築山藩藩士の浪人塙十四郎(はなわじゅうしろうが、「慶光寺」の寺役人近藤金吾や、橘屋の番頭藤七(とうしち等と共に、縁切りを求めて「橘屋」に駆け込んでくるいろいろな女達の様々な事情を探り、絡み合う悪事や謎を解明、愛憎乱れる 女と男の深い闇を、人情と剣とで見事に解決していく、悲喜こもごもの物語である。


読んでも読んでも、そのそばから忘れてしまう老脳。
読んだことの有る本を、うっかりまた借りてくるような失態を繰り返さないためにも、
その都度、備忘録として、ブログ・カテゴリー「読書記」に、書き留め置くことにしている。


「第一話 遠い春」
▢主な登場人物
 柏屋佐兵衛・おつや、宇助、
 古賀小一郎、梅之助、大内彦左衛門
 七之助、
 おたき、詫間清司郎、お鈴、
▢あらすじ等
 木綿問屋「柏屋」の女将おつやが橘屋に駆け込んできて、主の佐兵衛に、女がいると
 言い張るが、実際は、怪しい女おたきに、強請られていることが分かり・・・、
 さらに、小料理屋「花房」の女中お鈴が殺害され、佐兵衛が下手人として捕らえられ・・・、

 本作より登場の七之助と十四郎、藤七、等が事件の真相を探索、
  「斬れ!、斬って俺の怨念を買え。お前がこの世を去るまで怨み続けてやる」
  「俺は斬らぬ」
  十四郎は静かに言った。
  「お前は罪を償わなければならぬ。ただ、ひとつだけ言っておくぞ」
  十四郎は、すさんだ詫間の横顔に、楽翁の言葉を告げた。

「第二話 菜の花」
▢主な登場人物
 万吉(万太郎)、雅吉、与助、太七、
 おつる、勝次、
 宇吉・おかじ
 三国屋利兵衛、九鬼、留次、

 玄蔵、大関甚内、
 千草、大内彦左衛門、
 三国屋利兵衛、
▢あらすじ等、
 「万吉だれの子悪人の子、おとっつぁんは島送り、おっかさんは江戸払い、
 寺のぼんさんに拾われて・・・」、

 お登勢は、浅草寺に捨てられていた万吉を引き取って育て、橘屋の小僧として、
 塾にも通わせていたのだが・・・・、

 その万吉が何者かに狙われており・・・、何故?
 一方で、慶光寺で修行中のおつるが重病、元の亭主勝次に会いたがっており、
 本来、規則違反のところ、万寿院の情から、お登勢、十四郎、藤七、七之助が、
 勝次の行方を探索開始、
 宇吉とは?、三国屋利兵衛とは?

 事件を追っていくと、万吉の出自に繋がっていき・・・、
 果たして・・・、

  「おいらは、この江戸から離れねえ。おとっつぁんの子だ。橘屋からどこにもいかねえー」
  きっぱりと万吉は言ったのである。

  「万吉・・・・」
  お登勢が目頭を押さえた。

「第三話 鳴き砂」
▢主な登場人物
 市岡圭之助・美佐、
 金谷甲之進、信濃修理、井戸金兵衛、阿久津欣弥、桑島伝九郎、
 近江屋惣兵衛、
 七之助、玄蔵
▢あらすじ等
 産み月が近い市岡美佐という武家の妻女が慶光寺に駆け込んできた。美佐は夫圭之助に
 女ができたので離縁したいと訴えるが、美佐の言動には不審有り、
 十四郎、藤七、七之助が、探索、次第に、美佐が駆け込みに至った哀しい真相が明らかに
 なり・・、
  「私は国を出奔する時にも、この鳴き砂があれば踏ん張れると思っていたのだ」
  美佐は両掌で、鳴き砂の入った袋をしっかりと包んだ。その手の上に涙が落ちる。
  「お前の腹の子は、私の子だ」
  その言葉に、美佐の双眸から涙があふれ出た。

「解説」 縄田一男


(隅田川御用帳」ゆかりの地図