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池波正太郎著 「あいびきー江戸の女たち」

2023年01月26日 18時30分22秒 | 読書記

図書館から借りていた、池波正太郎著「あいびきー江戸の女たち」(立風書房)を、読み終えた。本書には、すべて女性が主人公の、「おせん」「平松屋おみつ」「おきぬとお道」「梅屋のおしげ」「蕎麦切おその」「出刃打お玉」「あいびき」「御菓子所・壺屋火事」「狐の嫁入り」「伊勢屋の黒助」「お千代」「烈女切腹」の12篇の短編時代小説が収録されている。男中心の江戸の町にあって、精一杯、恋と生を貫こうとした女性達の健気な人生を描いた作品群である。のちに、「おせん」と改題されて、新潮文庫でも発刊されているそうだ。

「おせん」
▢主な登場人物・おせん(主人公)、川口屋金蔵、弥四郎、おこん、おみね、山口有吉(定廻り同心)
▢あらすじ・紅白粉問屋の福田屋庄助に金を無心する脅迫状が届いたが、その曲者は、飾り職人の弥四郎という男で捕らえられた。余罪多数の弥四郎の取り調べで、呼び出されたおせんは迷惑顔、かって弥四郎がおせんの客だったからであるが、弥四郎は島送りとなった後、弥四郎の女房おこんが、弥四郎の母親おみねをおせんに押しつけてきた。なんで?、おもわぬ展開に、おせんは迷うのだが・・・。

「平松屋おみつ」
▢主な登場人物・おみつ(主人公)、徳之助(おみつの父親)、甚五郎、柳屋平兵衛、平松屋利七、おりん、利太郎、お千代、安蔵
▢あらすじ・煙管師だったおみつの父親徳之助が殺された。犯人は侍か?、復讐心に燃えるおみつだったが、まったく手がかりがないままに月日は流れてしまう。やがて、おみつは小間物問屋平松屋に奉公することになる。内儀のおりんは口やかましい人間だったが、おみつはよく仕え可愛がられた。ある日、平松屋の店先に行き倒れの老人安蔵が・・・。その安蔵は、三人組の浪人に襲われた平松屋の長女お千代を助け、致命重傷を負い死ぬ。死の直前、懸命に看護するおみつに安蔵は、身の上や過去を打ち明けるのだったが・・・。

「おきぬとお道」
▢主な登場人物・お道(主人公)、木村万次郎、木村徳之助、よね、おきぬ
▢あらすじ・御家人木村家の次男坊万次郎に結納金不要の縁談が持ち込まれる。相手は、御家人平山甚五郎の、容姿に問題有り娘お道で、万次郎はそれを確かめ、げっそりするが、もう一つ、支度金百両を用意するという縁談が飛び込んできた。相手は菓子屋松尾山寿の娘で美人のおきぬ。万次郎は商人になるつもりで迷いもなくおきぬを選んだが・・・・。まさか・・・。万次郎は、江戸から姿を消してしまった。大政奉還、鳥羽伏見の戦い、江戸城開城、徳川征討大号令、時代は激動、8年が経過し、江戸へ帰ってきた万次郎は?・・。おきぬは?、お道は?

「梅屋のおしげ」
▢主な登場人物・おしげ(主人公)、おうめ(おしげの姉)、宗助、友五郎
▢あらすじ・幼い頃に疱瘡を患って、顔いちめんあばたの13歳のおしげ。そのおしげを宗助という男がつけてきた。おしげの姉おうめを探していたのだが、姉が宗助にずいぶんひどい仕打ちをしたことを知り、姉を捜し当て、そのことをなじると、おうめは邪険な態度を取り、暴言を吐き、かぁーとなったおしげがおうめを金火箸で刺してしまい、身投げをはかる。漁師の友五郎に助けられ、江戸を脱出、15年後、東海道藤枝宿に、おしげと友五郎の姿が有るが、ある日、「お前、おしげじゃないかえ?」・・「あ・・・・、ね、ねえさん・・・・」、おうめは生きていた。

「蕎麦切おその」
▢主な登場人物・お園(主人公)、治太郎、おない、相模屋幸右衛門
▢あらすじ・信州飯山から遠縁の東海道藤沢宿の桔梗屋に女中奉公しているお園は、蕎麦粉と酒だけしか受け付けない体質の片輪者だったが、そのお園のつくる蕎麦切りは大評判となり、桔梗屋は大繁盛。本陣や同業者からは、反感、妬み、やっかみが日増しに強くなり、そんな中で、お園は身籠った。桔梗屋の女将おないは、亭主治太郎が相手だと思いこみお園を追い出してしまう。お園は、小田原宿、戸塚宿でも、他の店に奉公し、評判を得たが・・・・、浪人者に・・・。相模屋幸右衛門が「お前、いま、何を食べているのだい?」・・・「旦那、もう、死にません」・・・。
後年、軽業女太夫玉木小新一座を束ねている小新の母親の右腕が無い・・、

「出刃打お玉」
▢主な登場人物・お玉(主人公)、増田正蔵、森藤十郎、順庵、新助、おろく、
▢あらすじ・けころ(娼婦の店)みよしやのお玉のその日の口あけの客は、信州飯山藩足軽小頭増田喜兵衛の一人息子で返り討ち覚悟で敵討ちに臨むという若者増田正蔵だった。お玉の放ったアジ切包丁が、森藤十郎の右眼に突き刺さり・・・。20年の歳月が経過、飯山藩江戸屋敷定府取次役に出世した増田正蔵と再会したお玉(55歳)・・。畳針が正蔵の右目に・・・。お玉は、若い頃、軽業女太夫玉木小新一座で出刃打ちの芸を身に着けていたのだった。

「あいびき」
▢主な登場人物・お徳(主人公)、扇屋仁兵衛、覚順、井筒屋文吉
▢あらすじ・菓子屋の扇屋仁兵衛の女房お徳が覚順とあいびきをしているのを見ている者がいた。それは幼なじみだった井筒屋の文吉であったが・・・・・、脅迫、ゆすりを常習とする人間になっており・・・、お徳は、金蔵から三十両を持ち出し・・、ところが・・・。文吉は?、覚順は?

「御菓子所・壺屋火事」
▢主な登場人物・おしま、お伝(主人公)、惣次郎、壺屋小兵衛、よね、渡辺寅之助(同心)、鎌吉(御用聞き・岡っ引き)、
▢あらすじ・惣次郎は、壺屋小兵衛の女房よねの贔屓で手代となって有能ぶりを発揮していたが、これに、小兵衛以下他の手代から嫉妬、やっかみを強め、衝突、事件が起きる。小兵衛は、同心、御用聞きをも金で巻き込み、惣次郎を処刑に追いやる。惣次郎の前の勤め先加賀屋友蔵の女房おしまのもとへ、壺屋小兵衛の元女中お伝が訪ね、真相が明らかになり・・・。許せない・・・。

「狐の嫁入り」
▢主な登場人物・おだい(主人公)、弥治郎、おせつ、清次郎、おみつ、牝狐
▢あらすじ・笠屋弥治郎は、夢で牝狐が向う一年間この家においてくれと言われる夢を見る。女房のおせつは病床にあり、何をやらせてもダメな下女おだいをあてに出来ず、弥次郎は、商売、家事、看病に追い回され疲れ果てていたが、その夢の後、驚くべきことが起こった。・・・。おだいが別人に・・・。おせつが死去し、弥次郎は・・。そして、1年後、また夢を見た。おだいが・・・。

「伊勢屋の黒助」
▢主な登場人物・弥助、伊勢屋久兵衛、黒助(猫)、おきぬ
▢あらすじ・裏長屋で一人暮らしの棒手振り魚屋の弥助は、金は一文も無く病気で瀕死の状態だったが、枕元に小判が3枚?。お得意さんの紙問屋伊勢屋久兵衛で飼っていた黒猫が気になり訪ねると・・・。「まさか」。3年後、おきぬという女房ももらい、男の子が生まれ、名を「黒助」とした

「お千代」
▢主な登場人物・おかね(主人公)、松五郎、お千代(雌猫)、大喜喜兵衛(大工の棟梁)、吉田道竹、おふさ、
▢あらすじ・飼い猫のお千代との生活で満足していた、大工の松五郎がおかねと所帯を持ったのは棟梁喜兵衛から強制されたためだったが・・・。事件発生、姦通?、殺人?・・・。後妻のおふさは逃げ出し・・・。12年の歳月が経過、恩赦で三宅島から江戸に戻ってきたおかねに、「おかね、さすがのあいつも、五年前にあの世へ行ったよ」

「烈女切腹」
▢主な登場人物・りつ(主人公)、渡辺茂太夫、大須賀五郎兵衛、高山儀右衛門、
▢あらすじ・りつは、武州岩槻藩江戸屋敷内の長屋から鎖帷子を純白の衣装の下に着込み、側用人の渡辺茂太夫の長屋を訪ね、茂太夫と嫡男の権之丞を脇差しで斬殺した。藩主阿部対馬守正重は激怒、りつに切腹を命じるが、家中で評判の良くなかった奸臣渡辺茂太夫にそれまで牛耳られていた家老家臣達が、こぞってりつの助命運動が立ち上がった。しかし切腹は撤回されなかった。切腹前夜、りつは、許すことの出来ない大須賀五郎兵衛との面会を許され・・・。りつの決意は、決して、御家のため、殿のための忠義では無く、夫と子供を理不尽に退けられた恨みだったと・・・・。
江戸家老高山儀右衛門が馬を駆って本所下屋敷に駆けつけたが・・・・、「法には道義がふくまれてのうてはなりませぬ。人・・・人の道義あればこそ・・・・人は法を、信ずるのでございます」


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