足腰大丈夫な内に出来る限り、不要雑物処分・身辺片付け整理をしよう等と思い込んでからすでに久しいが、正直なかなか進んでいない。それでもここ2~3年には、押し入れや天袋、物置、書棚等に詰まっていた古い書籍類をかなり大胆に処分してきた。ただ、中には「これ、面白そう・・」等と目が止まり、残してしまった書籍もまだまだ結構有る。その中に 漫画家赤塚不二夫著、元東京学芸大学附属高等学校教諭石井秀夫指導の古典入門まんがゼミナール「枕草子」(学研)が有る。多分、長男か次男かが、受験勉強中に使っていた「枕草子」の解説本・参考書の一つのようだが、錆びついた老脳でもなんとか読めそうな、まんがで描いたくだけた内容、その内いつか目を通してみよう等と仕舞い込んでいたものだ。ながびく新型コロナ禍、不要不急の外出自粛中、ふっと思い出して、やおら引っ張りだしてみた。当然のこと、本格的な「枕草子」解説本、参考書とは異なり、限られたサワリの部分に絞ったものであるが、学生時代に多かれ少なかれ齧っていたはずの日本の代表的な古典、清少納言の「枕草子」も、ほとんど覚えていないし、「古典」に疎く、苦手な人間には、十分楽しめそうで、御の字の書である。
「ワテの愛する季節どす」・まんがゼミナール「枕草子」その1
第1段 「春は曙」
四季それぞれの美しい情趣を醸し出す時刻と景物を綴った随筆・随想的文章であり、随所に作者清少納言らしい感覚がちりばめられている「枕草子」冒頭部分。
春は 暁がよろしいおすな・・・、
夏は夜
月のころはさらにええわ、
暗闇かて、蛍が飛び交えば、風情が有るものやし・・・、
そないな夜は、雨が降る様子かて、面白おす・・、
秋は夕暮れが何と言うたかて、よろしおすえ、
まして、形のええ雁が列を連ねて遠く小さく見えるのは
ほんまよろしおす。
日がすっかり暮れてしもうて、風の音、虫の声等、
言うことは あらへんほどでおます、
冬は朝早くがええ、
雪が降った朝の素晴らしさ、言うまでもあらへんえ、
霜等がえろう白うおますのも気持ちがええものでおます、
えろう、寒い朝に急ぎおこした炭火等持って、
廊下を行くのも、冬の朝に、よーく似つかわしくおます、
せやけど、昼になって、寒さがゆるうなると、
火桶の火も白い灰が多くなって、あきまへん、
原文だよ~ん
春は曙。
やうやう白くなりゆく、山際少しあかりて、
紫だちたる雲の、細くたなびきたる。
夏は夜。
月のころはさらなり、闇もなほ、螢の、多く飛びちがひたる。
また、ただ一つ二つなど、ほのかにうち光りてゆくもをかし。
雨など降るもをかし。
秋は夕暮れ。
夕日のさして、山の端いと近うなりたるに、
烏の寝どころへ行くとて、
三つ四つ、二つ三つなど飛び急ぐさへあはれなり。
まいて、雁などの連ねたるが、いと小さく見ゆるはいとをかし。
日入り果てて、風の音、虫の音など、はた言ふべきにあらず。
冬はつとめて。
雪の降りたるは、言ふべきにもあらず。
霜のいと白きも、また、さらでもいと寒きに、火など急ぎおこして、
炭持てわたるも、いとつきづきし。
昼になりて、ぬるくゆるびもていけば、火桶の火も灰がちになりて、わろし。