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宮部みゆき著 「本所深川ふしぎ草紙」

2023年01月13日 10時49分30秒 | 読書記

図書館から借りていた、宮部みゆき著「本所深川ふしぎ草紙」(新人物往来社)を、読み終えた。本書には、「本所七不思議」を題材にして、江戸の下町に住む人達の人情と温もりを、ミステリータッチで描いた連作短編時代小説、1988年~1991年に別冊歴史読本特別増刊で発表された作品を中心にした7篇が収録されている。各篇の要所に登場する、他の宮部作品でもお馴染みの本所深川一帯を仕切る岡っ引き、回向院の茂七が、謎解きに、捕物に、いい味を出しており、一話一話が締まっているように思う。平成4年(1992年)には、第13回吉川英治文学新人賞を受賞した作品である。

第一話 「片葉の芦(かたはのあし)」
▢主な登場人物
 彦次、源助、近江屋藤兵衛、お美津、
お園、元六、茂七
▢あらすじ
 「人に恵んでもらって生きることしちゃいけない。恵むことと助けることは違う」を信条と
 していた近江屋藤兵衛が殺された。それに反目し絶えず喧嘩をしていた娘のお美津が疑われる
 が・・・・・。果たして下手人は誰?。
 その昔お美津から恩を受けた彦次は・、
 「片葉の芦」・・・、子供の約束だったと彦次は思い、寂しさに堪えて自分に言い聞かせた。

第二話 「送り提灯(ちょうちん)」
▢主な登場人物
 おりん、
清助、おふく、茂七、
▢あらすじ
 煙草問屋大野屋に8歳で奉公、12歳のおりんは、大野屋のお嬢さんの恋成就のための願掛けを
 命じられ、毎夜回向院の境内に通うが、2ヶ月後、大野屋に押し込みが・・・。
 お嬢さんを助けた手代の清助は、店のものたちとは顔をあわせないまま大野屋を去った。

第三話 「置いてけ堀」
▢主な登場人物
 おしず、角太郎、庄太、おとよ、富士春、川越屋吉兵衛、お光、茂七、
▢あらすじ
 「置いてけ、置いてけ」・・、置いてけ堀の噂が立ち、おしずは、殺された夫棒手振り魚屋
 だった庄太が成仏出来ずに出てきたのではないかと思い込み、置いてけ掘へ。
 そして、真相が判明・・・・。人を雇って、庄太を殺したのは・・・?、茂七が解決する。
 「おまえさん。腕の中の子供をそっとゆすぶり、ほほえみかけながら、おしずは心の中で
 つぶやいた。あたしはもう、怖がったりしません」

第四話 「落葉なしの椎(しい)」
▢主な登場人物
 お袖、千太郎、茂七、お里、文次、勢吉、
▢あらすじ
 3日前、商家の主人が殺さた現場は椎の葉が落ちていて、茂七は下手人の足跡が確認
 出来なかった。それを聞いた雑穀問屋小田原屋の奉公人18歳のお袖が、真夜中に
 椎の葉を掃除するようになったが、その分けは?、
 また、その様子を見つめる怪しい男が?、その男の正体は?。
 警護のため、小田原屋の奉公人になりすました下っ引きの文次だったが、お袖に横恋慕?、
 「これであっしの奉公人暮らしもおしめいか」。

第五話 「馬鹿囃子(ばかばやし)」
▢主な登場人物
 おとし、宗吉、お吉、茂七、お里、
▢あらすじ
 顔切り事件頻発。幼なじみの鳶職の宗吉と夫婦約束しているおとしが、伯父である回向院の
 茂七お里夫婦に話を聞いてもらいたくて訪れたが、そこにいた若い娘お吉
 「男なんてみんな馬鹿囃子だ」と独り言を言う。
 宗吉から白粉の匂い?、悋気を起こすおとし、その分けは?、
 おとしの背後から迫る顔切り男、お吉が男に体当たりし・・、茂七が・・、

第六話 「足洗い屋敷」
▢主な登場人物
 おみよ、大野屋長兵衛、お静、お新、お勝、伊三次、茂七
▢あらすじ
 おみよは、美人の新しい義母お静に魅了され大好きだったが、その義母は悪い夢でうなされる。
 「洗え、洗え、洗え・・、脅かすように大きな声が天井を破って降りてくる」・・
 その分けは?
 奥座敷の庭の垣根越しの路地から大野屋を窺っている若い娘お新とお静・・・は?
 「すまねえな。もっと早くに話してやるべきだったんだが、なにせ決め手がなかったんだ」


第七話 「消えずの行灯(あんどん)」
▢主な登場人物
 おゆう、小平次、市毛屋喜兵衛、お松、友次郎、茂七
▢あらすじ
 飯屋桜屋で働いていた、男を見る目が厳しいおゆうが客の一人小平次から変わった仕事の誘いを
 受ける。足袋屋市毛屋喜兵衛が亡くした娘お鈴のふりをして奉公してくれたら、大枚の礼金を
 支払うという話だったが、おゆうは、これを断った。礼金に欲の目がくらんだ桜屋主人夫婦は
 態度悪化させ、おゆうは解雇されてしまう。
 おゆうは、小平次と再会、結局、市毛屋に奉公するが・・、2月半ばの小雪舞う夜、江戸に
 大火が発生、おゆうは?、お松は?、喜兵衛は?、茂七は?
 「おゆう、なんで馘になったかわかってるかい?」、わかっていると、自分では思う。
 友次郎の思いとは逆に、亡くした子供を二人で悼むのではなく、市毛屋夫婦の消えずの行灯は、
 憎しみの油で燃えているのかもしれなかった・・・と。




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