古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

池波正太郎の映画日記 池波正太郎

2025-02-14 01:00:10 | 池波正太郎

山口正介・編 1995年

 

編纂をした山口正介氏は山口瞳氏の息子さん

 

で、池波氏の出入りしていた銀座界隈の試写

 

室で時折、ばったりと出くわしていたらしく、

 

正介氏から身分を明かし、挨拶したと云う。

 

この本は、最後のジョン・ウェイン(1980

 

年七月刊)とラストシーンの夢追い(1983年

 

四月刊)とスクリーンの四季(1985年二月刊)

 

を一冊にしたものだと云う。

 

ぼくの視た映画も数多くのっており、そのどれをも

 

脚本、キャメラ、演出の観点からも視て、批評されて

 

おり、映画に対する愛の深さを感じた。

 

フェリーニの「道」を視て、泣かれたらしく、すごく

 

感性の強い、敏感な方なのだな、と感じ入った。

 

(読了日 2025年1・1(水)21:30)

               (鶴岡 卓哉)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

猫の縁談   出久根達郎

2025-02-13 12:48:26 | 小説の紹介

中公文庫  1991年

 

短編集「猫の縁談」表題作。猫のじいさんと云う

 

猫を引き取ってくれ、蔵書と一緒に、というじい

 

さんが巻き起こす騒動を描いた短編。

 

珍しい棟方志功の本と引き換えに猫の面倒を見てくれ、

 

と云い出し、その果ては、その猫じいさんは泥棒で、

 

その猫に餌をやりに来るがてら泥棒していくと云う。

 

いろいろ問題の多いじいさんだが、最後は死んでしまう。

 

ぼくだったら、鼻から相手にしないので、出久根さんは

 

優しい人なのだろうなあ、と思った。

 

(2024年12月最後の読了本

         12・29(日)22:45)

               (鶴岡 卓哉)    

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

雑記+陽は西へ 色川武大

2025-02-11 03:17:02 | 小説の紹介

この僕のブログは自分の思考実験の発表の

 

場だと思っているのだが、僕の小説とかの

 

作品は人に読まれていないものが、たくさん

 

ある。しかし、僕はあまりプロになることば

 

かりに拘っているわけではない。兎に角、

 

自分で納得出来るいい作品を書きたいと云う

 

想いが強い。と云うわけで、僕は、人に読

 

まれたことがあまりないこと故、自分の作品

 

の立ち位置が良く分かっていないところがある。

 

まあ、長生きしてれば、そのうちに、僕の作品

 

も人に認知されることも、あるいは、あるかもね。

 

最近、考えてるのは、カッコいい、とはどういう

 

ことだろう、と云うことだ。答えは、多分、スマ

 

ートな気の遣えるおとなの男になる、と云う

 

ことだろう。僕はカッコいいおとなの男になりたい

 

と思っている。

 

とととと、ちょっと長くなってしまいそうだ。

 

今日は、「虫喰い仙次」所収の色川武大氏の短編

 

ですよ。

 

1986年

 

伯母から朝鮮の朝鮮飴と云うものを送って来る

 

話しがでてくる。あまりおいしくはなかった、

 

と云う。広島の原爆でその伯母は死んでしまった

 

らしい。夏、大柄な女の子が色川氏の元に転がり

 

込んで来て、秘書のようなことを一年弱していた

 

ことが描かれる。その子は二十七歳で結婚したが

 

っているが、なかなか相手に恵まれず、退屈な男

 

はイヤだと云うことだ。

 

秋、父母に世話を焼いたりしてやることの難しさ

 

について描いている。ツケ台に坐ってスシを

 

喰ったことのない父親に奢ってやって、しでかした、

 

と後悔している。箱根に二泊の旅行をプレゼントして

 

二日目に母が腹痛を起こし、帰って来て、女と云うもの

 

の恐ろしさを描いている。

 

身辺雑記のエッセイのようだが、エッセイともちと

 

違うようだ。とても読み易くて、色川氏のこと知るには

 

いいテクストになるだろう。

 

(表題作「虫喰い仙次」と「走る少年」はどうしても

 

興味が持てなくて、きちんと読めなかった。残念だが、

 

僕の趣味とは合わなかったようだから、「虫喰い仙次」

 

はこれにて終了だ。)

 

(2024年12・29(日)20:20)

             (鶴岡 卓哉)

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日記+たった一人の生還 佐野三治

2025-02-10 18:03:31 | 本の紹介

作家になんとなくなりたく思って書き始めて

 

早くも数十年も経ってしまった。途中、何年か

 

休んだものの、続けて来て、飽きがきたと云う

 

ことはない。

 

文学と云うのはやっていても人に迷惑を掛ける

 

ものではないので、例えば、大きい何かを作る

 

とか、大きい音を出すとか、たくさんのお金が

 

かかるとかすれば、ハハも文句も言うだろうが、

 

文学にはお金もほとんど掛からないし、ジッと

 

考えているだけで出来ることなのだ。まあ、本

 

は読まなくちゃあなれないと思うので、本を

 

買うお金はいるが、僕にはアカデミイ書店と云う

 

強い味方がいる。千冊読まなければ、ダメだとい

 

うことらしいが、僕はおとなになってから、二千冊

 

くらい読んでいる。まあ、そういうわけで、僕は

 

五十を過ぎていても、好きなことを出来ているわ

 

けである。

 

と云うわけで、今日は、佐野三治氏の遭難体験記

 

の、たった一人の生還ですよ。

 

山と渓谷社 平成4

 

ライフラフトと云う救命ボートに乗って、二十七日間

 

漂流し、六人が次々と死に水葬に伏し、生き残って

 

船に見つけられて、救助されるまでを刻銘に綴った

 

漂流記。

 

救命ボートに七人が乗り、一日に一枚のビスケット

 

を六等分にして過ごしたと云う。

 

二人になってからは、励まし合って、海鳥を捕まえて

 

食べたと云う。くちばしを使って捌いたと云う。一人

 

になってしまって、海鳥をまた捕まえて食べたけど、

 

ちっともおいしくなかったと云う。人と云うものは

 

人と食べるからいろんなものをおいしいと感じるもの

 

なのだなあ。足にひどい床擦れのようなものが出来て

 

壊死して、手術したと云う。それが、絶叫するくらい

 

痛いらしい。

 

フツーに暮らせるって本当に幸せなことなのだな、と

 

つくづく思い知らされた一冊だった。

 

(読了日 2024年12・29(日)14:06)

                 (鶴岡 卓哉)

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

雀    色川武大

2025-02-09 04:37:16 | 色川武大

「虫喰い仙次」所収。   1986年

 

不思議な味わいの短編だった。昔の子供は運転手に

 

なりたがったらしいが、それは子供なりのポーズだ

 

ったと告白する。

 

電車に関して独自の想いがあり、畳のへりを線路に見

 

立てて走らせたり、けど、それは、男の子ならだれでもやる

 

と思う。

 

弟はなんでも電車に関することをメモしていたが、嫁には

 

見せず、ほかの人には見せたりしていたらしい。

 

この短編のラストの会話も奇妙だ。

 

父親は伊勢の方にいて雀の戸籍を作っている。俺たちの後生

 

よりいくらかよさそうだな、「ああ、いくらかな」と私はいった。

 

で、結ばれている。

 

ちょっと怖くもあり、ホラーめいていて、実に妙なおかしみ

 

もある、そんな短編だった。

 

(読了日 2024年12・29(日)2:45)

                (鶴岡 卓哉)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする