古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

異端者の悲しみ    谷崎潤一郎

2023-05-10 07:07:03 | 小説の紹介
新潮文庫

なんともイヤな話だ、と思った。肺病やみの姉は最後に

死んでしまうのもそうだし、なんとも救われない話であ

るが、ラスト3行で、作家として成功したことがほのめ

かされているのが、明るい希望となっている。

ぼくも東京時代に、病気で働けもしなかったところを

チチに毎日、激しくいびられて、働けだの、将来はどう

すんだ、このバカヤロー、だの言われて、たいへん困った

日々を送っていたことも思い出し、この主人公の、友人

たちからおカネを無心したり、不義理したりするのを、

苦々しい気持ちで読んだ。

まったく若いときとは、なんともはや救いようのないこと

か、と思った。

  (読了日 2023年4・23(日)17:57)
                  (鶴岡 卓哉)



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