古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

お父さん大好き    山崎ナオコ-ラ

2019-03-28 10:07:43 | 小説の紹介
文春文庫   2008年


「手」は芥川賞の候補にはなったらしいが、本タイトルは


逃したようだ。ちょっとこの作品ではムリかもしれない。



むしろ、表題作「お父さん大好き」の方が出来はいいようだ。


中年の上司と若いOLがランチを食べにいくところで、若い


OLはパクチーもトムヤムクンもしらない体で描いている。


ナオコーラさんはなにも知りたくなかったんじゃないか。その


反動で、何もかも知っている(と、思われている。その実、なにも


知りはしない)おじさんに焦点を定めたのではないか。


情報というものは大切だが、それはどこまで必要なのか? レゾン


・デートルという言葉を使い、その存在理由を問う。


我々は本当に必要なことを知っているのだろうか。


ナオコーラさんにとって、おじさん、とは情報そのものなのでは


ないのだろうか。


資本主義の名前を背負ったナオコーラさんの宿命として、それらは


必然的テーマになり得るのではないだろうか。

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