古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

桜島  梅崎春生

2024-11-28 01:41:13 | 小説の紹介

新潮文庫  昭和二十六年

 

美しく死ぬ、と云う言葉を胸に刻んだ村上兵曹。

 

終戦を島で迎え、その玉音放送も雑音が激しく

 

直截は聞けなかった。我々は本土決戦をする、

 

と上司の男は意気巻き、臆病者をぶった切る、と

 

豪語したあと、あのラジオは、終戦の放送でした、

 

と云うちょっとコントかよ、っていうほどのオチ。

 

でもなあ、本土決戦も覚悟していたのに調子狂うよ

 

っていう想いはあっただろうね。

 

さすが、文豪梅崎氏だけに、光る文章も多く、文体

 

もしっかりとしていて、これぞ、戦争文学って感じ

 

だった。

 

死ぬまで生きる、美しく死ぬ、昔日の日本人のもっ

 

ていた生きると云うことや、死についての意義が

 

垣間見えて、人間の根源をついた作品となっている。

 

(読了日 2024年11月10日(日)23:40)

                (鶴岡 卓哉)

 

 

 


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