新潮文庫 昭和二十六年
美しく死ぬ、と云う言葉を胸に刻んだ村上兵曹。
終戦を島で迎え、その玉音放送も雑音が激しく
直截は聞けなかった。我々は本土決戦をする、
と上司の男は意気巻き、臆病者をぶった切る、と
豪語したあと、あのラジオは、終戦の放送でした、
と云うちょっとコントかよ、っていうほどのオチ。
でもなあ、本土決戦も覚悟していたのに調子狂うよ
っていう想いはあっただろうね。
さすが、文豪梅崎氏だけに、光る文章も多く、文体
もしっかりとしていて、これぞ、戦争文学って感じ
だった。
死ぬまで生きる、美しく死ぬ、昔日の日本人のもっ
ていた生きると云うことや、死についての意義が
垣間見えて、人間の根源をついた作品となっている。
(読了日 2024年11月10日(日)23:40)
(鶴岡 卓哉)
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