新潮文庫
野犬有明フェリータを毒団子で殺す。なんのために殺すのだ
ろうか、わからないが、社会全体がフェリータを殺してしまった
のだ、という見解に沿うと、我々は知らず知らずのうちに誰か
を殺してしまっているのかもしれない。死に追いやってしまっ
ているのは、他でもないボク自身なのかもしれない、という
呪縛にとらわれる。
でも、肉団子に毒が入っているということも、人間の100万
倍の嗅覚があるのに気づかない、アホな野犬も野犬なのだ。
死んでゆく者に憐憫をもった瞬間に、こっち側があっち側にな
っているかもしれない、という恐怖。
突如、なんらかの力で打ち切りになったという伝説の企画、
東京漂流。
ザ・デイ・アフターは、ボクとしては、なかった方がよかったので
はないか、と思うのだが、東京漂流という作品のもつ力の効果
が薄れてしまった気がするのがなんとなく残念だった……合掌。
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