古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

眠る盃    向田邦子

2017-12-28 11:44:46 | 向田邦子
講談社文庫。


「荒城の月」の一節を眠る盃とまちがえて覚えていた、



という少女時代の回想。



向田さんはいいなあ、と感慨にふけっている。



水ようかんをなぞらえて、いつまでもあるものはおいしい



と感じない、期間限定だからいいのだ、というのは、た



しかに向田さん自身のことを表しているなあ、と思う。



その一冊を愛せよ、というのは作家にとって、貴重な言葉



だろう。



大量生産されてゆくモノを憂いていらっしゃったのだろう。



僕らはつぎつぎに新しいものがあらわれてくる、ということに



慣れすぎているのではないか。



ひとつのことにこだわって、愛し続けることも、必要なのでは、



という提言と受け取った。



これで、片付けができれば、最高の女だったのになあ、とつらつ



らと思うのだった。


                       (鶴岡卓哉)

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