新潮文庫 昭和34年
開高氏、初期の創作もの。泥沼の中から鉄板を
掘り出す。ある意味、スカウトされて引っ張って
いかれた部落の醜悪、醜怪な男の陥るハラハラワ
クワクするディストピア的世界。
その垢に塗れ、汚猥と汚物にもみくちゃにされたよう
な世界観に、とことん麗しい美の世界を見い出すところに、
開高氏のセンスが顕著に現れ出るところだろう。
ぼくはこういう大阪の裏路地的なカオスな世界
観が大好きなので、読んでいて楽しい時間だった。
こういう取りこぼし的なものに最近良く出会うので
嬉しい限りだ。日本三文オペラ、いや、決して、
三文ではない、一級品のオペラだと思う。
(読了日2024年 9・26(木)21:40)
(鶴岡 卓哉)
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