古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

シブイ       開高健

2016-07-21 12:43:06 | 本の紹介
TBSブリタニカ


まず、素晴らしい題字と装丁である。題字は


中川一政氏、絵は黒田征太郎氏である。中身


も大人の男の遊びの指南書……それも世界を股


に掛けて語られるのだから、おもしろくない



はずはない。ニューヨーク、パリ、祇園、など



開高氏が生前、遊んでいた風景が偲ばれて、興


味深い。こんな大人になってみたいものである


が、なかなか難しいだろうネエ……。
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或る「小倉日記」伝   松本清張

2016-07-20 22:29:19 | 小説の紹介
第二十八回 昭和二十七年下半期。


清張先生は文体が並外れてしっかりして



いるので、文学として、確とした世界を



作りだしている。それが、読ませるのだ。


ここからが出発点だったということか。


森鴎外について調べる能力はあるが、身体


障碍のある青年について描いている。その母


とててる子という女性。結局、その論文は完


成しなかったが、ひとりの男を成長させた……


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風に訊け ライフスタイル・アドバイス 開高健

2016-07-20 03:59:44 | 本の紹介
集英社。


巻頭に、「一気に読まないでください」と書いて


あったが、一気読みしてしまった。確かに一気読


みしては勿体ないと思われる。イチモツの質問から


哲学的なことまで様々なことについて論じている。


開高氏の情の深さが分かる書であり、開高氏のファ


ンにますますなってしまった。ライフスタイルだけ


あって充分、今でも通用する生き方の書である。
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リンウッド・テラスの心霊フィルム   大槻ケンヂ

2016-07-17 12:00:36 | 小説の紹介
角川文庫。


屋上から落ちたり、友達が死んだり……全体的に


暗い印象になると思いきや、オーケンの生来の


もので暗くなり過ぎず、ユーモラスな部分もある。


ちょっと笑える部分もあったりして、創造性に富


んでいる。オーケンはおかしな詩がお好きらしい


が、僕もへんてこな詩、好きですよ。
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金の卵  安倍公房

2016-07-16 15:20:35 | 小説の紹介
「群像」昭和32年11月号


80万年後の世界に鉛の卵として辿


り着いたその世界は、緑の植物の人


間の住む世界だった……。しかし、


そこにはどれい族がすんでいるとい


う。食べることで法を犯し、追放さ


れどれい族の元に行った男の運命は


……!



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喰いたい放題     色川武大

2016-07-16 11:41:18 | 本の紹介
ガツガツと喰いたいだけ喰う。マア、そんな



生活してたら六十で死ぬよナ……。そば屋がお


好きだったらしくあるそば屋でさんざ待たさ


れた話しなどはとても興が湧くように描かれ


ている。たまに出てくる奥さんの挽肉の話し



もおもしろい。この本に出てくる脇役ともい


うべき人々はとても色づいていて、生き生き


としていて読んでいて楽しい。また、夢の話し。


紙のようなカレー。夢も人も一線を画している。


人と違っていていいんだ、というような優しさ


が籠っていて、とても懐の深い人だということ


が伝わってくる。いい人は早死にするよなあ、


という思いに捉われてしまう。豪快でスケール


の大きな男である。
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サイゴンのいちばん長い日   近藤紘一

2016-07-15 20:04:18 | 本の紹介
文春文庫。


サイゴン陥落の1975年4月30日に居合わせた


記者のルポルタージュ。開高氏のルポとは一


味違った、街が陥落する様が描かれる。開高


氏との共通点はネズミが美味しい、というこ


とだ。余程おいしいのであろう。



一国が変わるということは、大きなことだが、



それが目の前で行われる、ということはもの凄


い興奮だろうと思う。それを冷静な目で見て、


文章にするということはタイヘンなことだと思


われる。十年経って、推敲されたらしいが、そ



れだけの時間が必要だったのだろう。
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日本の川を旅する カヌー単独行 野田知佑

2016-07-14 21:53:33 | 本の紹介
新潮社。


14の川をカヌーで下った記。その汚さが


やたらとイキイキ描かれる多摩川。その美


しさにやはり心奪われる四万十川など。清流


から汚川まで幅広く全国を網羅している。椎


名誠氏も褒めておられるが、何よりも驚くのは


その文章の巧さである。五十年後には川はな


くなる、と警告する野田氏であるが、多摩川な


どは一時期よりはキレイになったと聞く。東


京の水は売ってもいるくらいなので捨てたもの


ではないかなとも思う。


ちなみに、文庫本で読んだのだが、読み終わっ


たらバラバラになってしまった。
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キャンセルされた街の案内   吉田修一

2016-07-14 09:04:21 | 小説の紹介
新潮文庫。


それぞれの心の微妙な心の動きが明敏に


映しとられている、なんでこんなことす


るんだろう、ということをするし、なん


でこんなことを気にするんだろう、とい


うことを気にする。そこがリアルとなっ


て短編それぞれに個性となって、切り取


られてゆく。そこには短編乍ら、生きた


人間が息づいている。
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鏡と呼子   安倍公房

2016-07-13 11:09:23 | 小説の紹介
「文芸」昭和32年1月号


まず阿瀬トクの不自然なまでの轢き殺した


感じのするところがこの話しの不自然さを


一層きわたたせる。スパイとして阿瀬不然



という男があげられるが、これはキチガイ


なのか……話し自体も不思議な体をしている



。話しとして成立しているのかすらも疑わ


しくなってしまうが……このあやふやな感じ


がこの短編の魅力となっている。
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