古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

されど、われらが日々ー    柴田翔

2016-07-22 22:14:14 | 小説の紹介
第五十一回昭和39年上半期


芥川賞は短編の賞だと思っていたけれど、この作品



は二百八十枚。こういう例外もあるのか、と。今、


読むとこんな理屈っぽく生きている人は、今の時代


には皆無じゃないかな、と思う。母の世代なので、母


に聞くとこの時代には毛沢東の本を小脇に抱えた人が



たくさんいたということだから、なまじ、こういう人も


いたのだろう。しかし、今では鬱と診断されてしまいそ


うな、自殺するほどの疲れ、という理由なきものは、な


んとも若さを感じさせない。その当時の人たちはそんな


に疲れていたのだろうか、今よりもっと原始的な疲れか


もしれないけれど。どの告白も同じ調子、という批判も


確かに。手紙も同じ調子でした。でも、それを覆すほど


の魅力をこの作品はもっていると思うのでした。


柴田氏はこの作品後、余りお書きにならなくなったとか、



そういう意味では貴重な作品であることは確かです。
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悪い仲間     安岡章太郎

2016-07-22 17:36:27 | 小説の紹介
第二十九回昭和28年上半期



古山高麗雄らとともに送った青春の荒くれた



暴力的な日々を描く。どんどん悪化していく


様や、細かなところが実によく描かれている。


古山氏の書いたものも拝見したが、どちらも


イキイキと描かれていた。素晴らしき哉人生、


的な日々ってことですかね……。
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