村上春樹・訳
この本のタイトルの〈人生のちょっとした煩い〉
という文言がはいっている短編。
どうして春樹氏がペイリー女史の短編集をそんな
に訳したいのかよく理解できないでいたが、この
短編を読んで、ようやくその気持ちが分かったよ
うな気がした。
この短編の冒頭を五度くらい読み直して、いや、
意図的に読み直したのではないが、結果的にそう
なってしまって、それでも、この女主人公の人生
に失望する感じとか、ダンナがどこかへトンヅラ
こいてしまったことについて、また、ジョンという
男友達の存在、それに対する想い、と、テレビ番組
に出ようと思う、とジョンに言うと、きみのは、
人生のちょっとした煩いみたいなもので、ああいう
番組に出てくる人たちは洪水にあって、流されたよ
うな人たちだ、という。
うーん、人生のちょっとした煩いかあ、深い言葉に
思えてきました。
(読了日 2023年11・13(月)21:05)