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何度出会っても、恋せずにいられない
* * * * * * * *
あまりにも、泣きそうな感じだったので観ないでいたこの作品。
とうとう観てしまいました。
雨の季節に戻ってくると、自作の絵本に書き残して逝ってしまった、澪(みお)。
その言葉の通り、きっと戻ってくると
夫巧(たくみ)、6歳の息子佑司は信じていました。
澪が亡くなって一年経ったある雨の日、
二人は森で濡れそぼっている澪を見つけます。
ところが彼女は記憶を失っていて、
自分が誰かも、結婚していたことも覚えていません。
澪は初めてのまっさらな気持ちで巧と佑司に向き合い、
改めて家族の絆を結んでいきます。
まだ柔らかな瑞々しい緑と、静かな雨。
しっとりした背景が美しい。
死んだ人が戻ってきた。
・・・でも、これは全く幽霊譚ではありません。
怖さは全くない。
どういうことかというと・・・、
最後の方でやっとわかるのですが、
これはオカルトではなくて、
むしろSFだったんですね。
そしてファンタジーです。
たった6週間ばかり、戻ってきて何になるのか。
次の別れでまた悲しい思いをしなければならないというのに。
・・・そんな気がしていたのですが、
この6週間というのは巧と佑司のためにあったのではなくて、
むしろ澪自身のためにあったのだとわかります。
ラストに語られる澪からの視点の物語が、
意外性があって、しかも温かで、
う~ん、参ってしまいました。
ヒントは彼女の服装にありましたね。
切なくて、甘くて、温かで、上質の物語です。
同じ人物と、初恋のような瑞々しい気持ちを
二度もてるというのはいいですよね。
何度合っても、恋せずにいられない、運命の出会い・・・か。
いい年をしたおばさんも、
時にはセンチメンタルに、こういう世界に浸るのです。
素敵です。
しかし、彼らの周囲にはいい人ばかりですよね。
巧のお医者さん。
巧の同僚(ヒマそうな職場だったなあ・・・)。
佑司の学校の先生。
佑司のお友達の女の子。
こんな世界はあり得ない
・・・だからこそ、
これは大事に胸にしまっておきたいファンタジーなんだろうなあ。
こんな役柄を演じた男女なら、気持ちが接近しないはずはありませんよね・・・。
なるほど~~~。
2004年/日本/118分
監督:土井裕泰
原作:市川拓司
出演:竹内結子、中村獅童、武井証
いま、会いにゆきます