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ダイアナの選択

2009年10月30日 | 映画(た行)
ダイアナの選択 [DVD]

NIKKATSU CORPORATION(NK)(D)

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その「刹那」に思うこと・・・

             * * * * * * * *

ダイアナは17歳の時、高校で起こった銃乱射事件に巻き込まれました。
親友のモーリーンと二人でいたところへ現れた犯人。
彼は二人に銃を突きつけて、
「どちらかを殺す。どっちにする?」と迫る。

その15年後・・・。
ダイアナは夫と娘が1人。
幸せな結婚生活を送っています。
しかし、15年前の彼女の選択の記憶に、いつまでも彼女はさいなまれている。
ストーリーは高校での事件前のこと、
15年後のこと、
そして、その選択の瞬間が、交互に描写されてゆきます。

ダイアナは、窮屈な学校生活に馴染めず、
素行が悪く、教師にも目をつけられるような少女。
モーリーンは正反対で、まじめできちんと教会にも通う落ち着いた少女。
ですが、なぜか二人は気が合って仲がいい。
そんな二人の交友を細かに思い出します。
また、今の生活では、娘のことが気になっている。
小学生の娘は学校に馴染めず、まるで素行が悪かった自分を見るようでつらい。
自分のようになってほしくない。
そんな気持ちが良くわかります。
そしてたびたび繰り返される、銃を突きつけられ、選択を迫られるシーン。

・・・次第にどこまでが真実なのか幻想なのか、あやしくなり、
ダイアナの精神状態さえ危うく思われてくるのですが。
しかし作品途中には、選択の最後、ダイアナが答えたシーンが出てきません。


そして、ラストシーン。
衝撃の結末が待っています。
一瞬、意味がよくわからないのですけれど、
ああ、そういうことなのか・・・と、しんみり驚かされます。
でも、これは、「シックス・センス」のように
そのラストのどんでん返しをウリにする作品、
というわけではないのだろうと思います。
それまでの過程で、さんざんに自分の良心を責め続けるダイアナが、
鬼気迫る様子で描かれているから・・・。
いつもいつも15年前の自分と向き合っている。
愛、忠誠、良心・・・そんなことについて考えさせられる作品なのです。

さて、この作品は花や鳥など、控えめな色調の美しい映像にいろどられています。
まるで墓標に供えられた花のように・・・。
その意味を私たちは最後に知ることができるでしょう。

高校生のダイアナをエヴァン・レイチェルウッド、
15年後のダイアナをユマ・サーマンが演じています。
ほんの“刹那”に、人は何を考えることができるのでしょう。
生物の先生は言っていましたね。
人の筋肉で一番強いのは心臓の筋肉。
人の脳には、この宇宙全ての星よりたくさんの脳細胞がある。

2007年/アメリカ/90分
監督:ヴァディム・パールマン
出演:ユマ・サーマン、エヴァン・レイチェルウッド、エヴァ・アムーリ、ブレッド・カレン