映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

空気人形

2009年10月14日 | 映画(か行)
オバサンの限界を感じてしまい・・・

           * * * * * * * *

代用品。
安物のダッチドール、空気人形の“のぞみ”。
あるとき彼女に「こころ」が芽生え、街へ出ます。
いろいろな人とすれ違い、出会い、
そして、レンタルビデオ店で働く青年純一にひそかに思いを寄せます。

「心を持つことは、切ないことでした。」

そうつぶやく彼女の心に、いつしか私たちも同調して行きます。
中身がなく空っぽな自分。
けれども、都会の人々はやはり彼女と同じく空っぽな心をかかえたまま、
孤独の底に沈みつつ人とのつながりを切望している。


ふわふわして、透明感があり・・・
題材がエロチックな割りには、
ファンタジーめいた不思議な雰囲気が漂います。
どうにもならない思いを抱え、彼女が帰ったところは、
生みの親の人形師のところ。
このオダギリジョーのみが、唯一「生きた」感じがしていましたね。
さすが生みの親・・・、
というよりは、神ですね。
結局救いにはならないところが・・・。


さてと、こんな感じで、プロの評論家などは、
ほぼ絶賛の作品のようですが・・・。
どうも私はダメでした。
空気人形の心に同調してしまうと、耐えられなくなっちゃうんですよ。
生理的に・・・。
いまさらそんな純情を持ち合わせているつもりもないんですが、
心を持ちながら、
文字どおり「男のオモチャ」である“のぞみ”の存在に耐えられない。
ここら辺が、オバサンとしての限界だなあ・・・と思う次第。

以前見た「ラースとその彼女」を思い出すのですが、
あれには結局そういう濃密なシーンは出てこないんですよね。
だから耐えられたんだなあ・・・と、いまさら気づきました。
残念ですが、この作品については私は多くは語れません・・・。

2009年/日本/116分
監督・脚本:是枝裕和
出演:ペ・ドゥナ、ARATA、板尾創路、高橋昌也、オダギリジョー



空気人形 予告編