最後の恋―つまり、自分史上最高の恋。 (新潮文庫)阿川 佐和子,沢村 凛,三浦 しをん,柴田 よしき,乃南 アサ,谷村 志穂,角田 光代,松尾 由美新潮社このアイテムの詳細を見る |
アンソロジーです。
最後の恋、つまり「自分史上最高の恋」をテーマとした短篇作品集。
著者は阿川佐和子、角田光代、沢村凛、柴田よしき、
谷村志穂、乃南アサ、松尾由美、三浦しをんの8人。
この豪華さ、これで面白くないはずがありません。
そこで、さぞや濃密な愛の物語化と思ったのですが・・・
冒頭は、三浦しをん「春太の毎日」
1人暮らしの麻子の家にころがりこんだ春太。
ところが、麻子は春太がいるにもかかわらず、
他の男を連れ込んで、いちゃいちゃしたりする。
何、これ。
相当飛んでる自由な発想の女の子のストーリー???
なんか、三浦しをんらしくない
・・・と怪訝に思いながら読み進むうちに、見えてくる真相。
あ、なーんだ!そういうことか。
冒頭から、変化球でしたね。
しかし、これはいい意味で予想を裏切りました。
風変わりではあるけれど、すごくいい話なんですよ。
次の谷村志穂「ヒトリシズカ」。
瑞江は、いつも忙しくてなかなか会えない彼との逢瀬を楽しみにしている。
そろそろ、結婚に踏み切りたいのだけれど・・・。
おっと、マサカと思いきや、これも意外な落ち。
この本はこんなくせ球ばかりですか?
それも楽しくていいけど・・・、と思いましたが、
その後は普通に、恋愛小説になっていきますので、ご安心を。
何しろ、始めの一作がすごいインパクトだったので・・・。
それぞれの持ち味で、読ませるストーリーばかりです。
さすが「最後の恋」ということで、
甘すぎるハッピーエンドは無しなんですが。
楽しい一冊でした。
満足度 ★★★★☆