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映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

アメリカンパスタイム/俺たちの星条旗

2009年11月06日 | 映画(あ行)
アメリカンパスタイム 俺たちの星条旗 [DVD]

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日系人強制収容所にて

           * * * * * * * *

第二次世界大戦下アメリカが舞台です。
先ごろ3ヶ月連続発売で読んだ「栄光なき凱旋」と同様、
日系人の強制収容所について描かれています。


ロザンゼルスに住んでいたノムラ一家。
父カズ(中村雅俊)は少年時代にアメリカにやってきて成長し、
エミ(ジュディ・オング)と結婚。
長男レイン、次男ライルは、アメリカ生まれのアメリカ育ちで日本を知らない。
この4人家族は比較的豊かな生活を営んでいたのですが、
突然日米が開戦。
大急ぎで家財を二束三文で売り払い、
住み慣れた地を追い立てられて、ユタ州の強制収容所に収容されてしまう。
長男レインは、自らアメリカ人であることを証明するために、
米軍に志願します。
こういうあたりは「栄光なき凱旋」と同じですね。
そうした日系人のみで構成された442部隊がヨーロッパの激戦地に送られ、
多大な犠牲者を出しながらも、目覚しい活躍を遂げる。
この作品ではそこはあまり詳しい描写はありません。

メインとなるのは弟ライルの方で、
彼は戦争には行かず、収容所に残っています。
彼が得意なのはジャズのサックスと野球。
大学へ進学もしたのに、ダメになってしまい、やる気を失っています。
そんな中で、収容所の子供達の音楽教師として来ていたケイティと恋仲に。
そのケイティの父親ビリーというのは、この収容所の看守でもあります。
戦時下であり、白人と日本人の恋・・・これはご法度。
父親が許すはずもありません。
そんなあるとき、収容所の野球チームと、
看守ビリーの所属する野球チームが試合をすることになり・・・・。

野球というテーマを中心にしながら、
戦争が生んだ日系人とアメリカ人の軋轢が、うまく描写されています。
日系人への差別の中で生き抜いた人々には、敬意を表したいと思います。
これは過去の話で、今とは関係ない・・・と思いきや、
こんな話が「ミリキタニの猫」へとつながっていくわけですよね。


強制収容所にいる反骨精神あふれる老人がナイスです。
彼は酒を密造し、賭場を開く。
時には英語は話せないととぼけて、米兵を困惑させる。
ライルにとってはよき師。
この人の存在がなければ、この映画は全然つまらなくなっていたでしょう。

ところでこの兄弟、よく似ていて、
どっちがどっちだかよくわからない・・・。
日本人の私がそう思うのだから、
アメリカの人なら全くわからなかったでしょうね・・・。
ここも、日本の俳優を使ってもらいたかった・・・。

2007年/アメリカ/107分
監督:デズモンド・ナカノ
出演:中村雅俊、ジュディ・オング、ゲイリー・コール、アーロン・ヨー