夫婦のあり方の原点
* * * * * * * *
昨日の言葉とは裏腹に、お休みナシの連続新作。
まあ、お正月の特番ということで・・・。
* * * * * * * *
さてこれは、漫画家水木しげるの妻、武良布枝さんの原作本映画化。
・・・などということはもう解説の必要がないくらい、すっかりお馴染みですね。
NHKの朝ドラマのおかげで。
しかし実は私はその朝ドラマは見たことがありません。
原作本を読んだのみ。
従ってテレビドラマとの比較は出来ませんので、あしからず・・・。
このご夫婦は、お見合いをしてから5日で結婚したんですね。
布枝さんは、しげる氏は軍人恩給をうけているし、漫画を書いてそこそこ収入もあるので、
充分生活していけると思っていたのです。
ところが漫画は思うように売れず、実際はとんでもない貧乏生活。
結婚して初めてしげる氏の家へ行き、心細く心許ない・・・
そんな様子が良くあらわされていました。
実際、会ったばかりのほとんど他人。
こんなふうにして始まる結婚生活。
現代から見るとかえって新鮮な感じがします。
その時代は、周りにも貧乏人はけっこういて、
貧しいながらも助け合って何とか生きていけたんですね。
この生活、つまりは今で言う究極の“断捨離”なんだな。
なんと潔いまでの何もなさ。
本当に生きていくために必要なものって、そう多くはない。
しげる氏はいいます。
「貧乏は戦争よりましだ。貧乏は人の命まで奪わないから」
いえ、貧乏も度が過ぎれば命に関わりますけれど・・・。
布枝さんがそんな貧乏生活から逃げ出さなかったのは、
しげる氏のとにかく熱心な仕事ぶりを見たからなのでしょうね。
時には、漫画のアシスタントをも引き受ける布枝さんは、夫の漫画の良さを信じている。
原作中にありました。
夫の背中からオーラのようなものがたちのぼっていた、と。
また、特にこの映画の楽しいのは、
時にこの水木しげる氏の漫画原稿、アニメになって動き出すのです。
また、なにやら正体不明の怪しい存在が彼らの周りにある。
けれど彼らは決して悪さをしません。
はるか昔から人と共にあった存在なのだけれど、
今ではもうその姿を見ることが出来る者は少ないし、信じる者もいない。
いえ、それは水木氏の漫画から出るエネルギーに引き寄せられて、寄ってきたのかも。
単に事実を綴っている原作を、ドキュメンタリーではなく、
あえて映画作品に仕立てた成果が、こういうところにあります。
ところで、この水木しげる役をしているのは、宮藤官九郎さんじゃありませんか。
脚本家であり、映画監督でもある。
もしゃもしゃの髪に、黒縁めがね、
妙にこの時代にマッチしていましたねえ・・・。
ハンサムすぎないところがリアルでいい。
全くぎこちなかった夫婦が、次第にそれらしく馴染んでくる。
原作本では次第に仕事が増え、生活は楽になったけれども、夫婦が疎遠になってゆく
・・・そんな描写もありましたが、
この映画は貧乏時代に終始しています。
夫婦で力を合わせて貧乏を乗り切っていくこと、
夢や信念に向かって励むこと。
今、忘れられかけた夫婦のあり方の原点を、この作品が示しています。
エンディングテーマが、すごく面白い歌だったのです。
ユーモラスな妖怪たちにマッチした。
しかし、あまりにも強烈なので、耳に残ってしまって、
時々頭の中でぐるぐる曲が回っている・・・。
強烈すぎ・・・。
2010年/日本/119分
監督:鈴木卓爾
原作:武良布枝
出演:吹石一恵、宮藤官九郎、坂井真紀、村上淳、宮崎将
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昨日の言葉とは裏腹に、お休みナシの連続新作。
まあ、お正月の特番ということで・・・。
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さてこれは、漫画家水木しげるの妻、武良布枝さんの原作本映画化。
・・・などということはもう解説の必要がないくらい、すっかりお馴染みですね。
NHKの朝ドラマのおかげで。
しかし実は私はその朝ドラマは見たことがありません。
原作本を読んだのみ。
従ってテレビドラマとの比較は出来ませんので、あしからず・・・。
このご夫婦は、お見合いをしてから5日で結婚したんですね。
布枝さんは、しげる氏は軍人恩給をうけているし、漫画を書いてそこそこ収入もあるので、
充分生活していけると思っていたのです。
ところが漫画は思うように売れず、実際はとんでもない貧乏生活。
結婚して初めてしげる氏の家へ行き、心細く心許ない・・・
そんな様子が良くあらわされていました。
実際、会ったばかりのほとんど他人。
こんなふうにして始まる結婚生活。
現代から見るとかえって新鮮な感じがします。
その時代は、周りにも貧乏人はけっこういて、
貧しいながらも助け合って何とか生きていけたんですね。
この生活、つまりは今で言う究極の“断捨離”なんだな。
なんと潔いまでの何もなさ。
本当に生きていくために必要なものって、そう多くはない。
しげる氏はいいます。
「貧乏は戦争よりましだ。貧乏は人の命まで奪わないから」
いえ、貧乏も度が過ぎれば命に関わりますけれど・・・。
布枝さんがそんな貧乏生活から逃げ出さなかったのは、
しげる氏のとにかく熱心な仕事ぶりを見たからなのでしょうね。
時には、漫画のアシスタントをも引き受ける布枝さんは、夫の漫画の良さを信じている。
原作中にありました。
夫の背中からオーラのようなものがたちのぼっていた、と。
また、特にこの映画の楽しいのは、
時にこの水木しげる氏の漫画原稿、アニメになって動き出すのです。
また、なにやら正体不明の怪しい存在が彼らの周りにある。
けれど彼らは決して悪さをしません。
はるか昔から人と共にあった存在なのだけれど、
今ではもうその姿を見ることが出来る者は少ないし、信じる者もいない。
いえ、それは水木氏の漫画から出るエネルギーに引き寄せられて、寄ってきたのかも。
単に事実を綴っている原作を、ドキュメンタリーではなく、
あえて映画作品に仕立てた成果が、こういうところにあります。
ところで、この水木しげる役をしているのは、宮藤官九郎さんじゃありませんか。
脚本家であり、映画監督でもある。
もしゃもしゃの髪に、黒縁めがね、
妙にこの時代にマッチしていましたねえ・・・。
ハンサムすぎないところがリアルでいい。
全くぎこちなかった夫婦が、次第にそれらしく馴染んでくる。
原作本では次第に仕事が増え、生活は楽になったけれども、夫婦が疎遠になってゆく
・・・そんな描写もありましたが、
この映画は貧乏時代に終始しています。
夫婦で力を合わせて貧乏を乗り切っていくこと、
夢や信念に向かって励むこと。
今、忘れられかけた夫婦のあり方の原点を、この作品が示しています。
エンディングテーマが、すごく面白い歌だったのです。
ユーモラスな妖怪たちにマッチした。
しかし、あまりにも強烈なので、耳に残ってしまって、
時々頭の中でぐるぐる曲が回っている・・・。
強烈すぎ・・・。
2010年/日本/119分
監督:鈴木卓爾
原作:武良布枝
出演:吹石一恵、宮藤官九郎、坂井真紀、村上淳、宮崎将