武士の心“忠義”

* * * * * * * *
赤穂浪士の吉良邸討ち入りで、大石内蔵助率いる46名が切腹により、主君に殉じた
・・・というのは、もういうまでもないお話。
この作品は、そのとき死ぬことを許されなかった二人の武士の、その後の物語です。
一人は、討ち入り直前に逃亡した瀬尾孫左衛門(役所広司)。
もう一人は、この出来事を後の人に伝える役を受けた寺坂吉右衛門(佐藤浩市)。
さて、討ち入りの事件から16年が過ぎています。
吉右衛門は、地方に散り散りになった浅野家の家臣を訪ね、
生活の援助をしてきていました。
ようやく最後の一人を訪ね終わったところ。
その彼が、孫左衛門の姿を見かける。
逃亡し、これまで生きながらえているとは・・・、
とんでもない裏切り者なのです。
ところが、実は彼が逃げ延びたのには深いワケがあったのです。
孫左衛門は、妙齢の女性と二人で暮らしている。
妻でもなく、娘でもなく・・・、
その扱いはまるでお姫様だ。
さて、この女性、可音(かね)とは、何者?

孫左衛門の住まいは竹林の奥にあります。
「美女と竹林」を思い出してしまいました。
何とも、美しく、風情があります。
冬の雪の中をこいで歩く孫左衛門。
あでやかな紅葉。
何気ない町の光景で、風に舞う砂埃。
私はこの砂埃に、うなってしまいましたよ。
そういえば、今私たちの身近では風が吹いても砂埃なんか舞わない。
あるがままの日本の四季の情景が美しい。
また、要所要所で「曽根崎心中」の人形浄瑠璃が挿入されています。
道ならぬ恋。
これを象徴しているわけですが、この効果がすばらしい。
この人形の感情を表現する細やかな動きなども、見物です。
しかし、この物語のテーマは道ならぬ恋ではありません。
それも絡めながら、武士の“忠義”を描き出している。
だから、このラストに不満な方は多いようなのですが、
私はこの終わり方しかないだろうと思います。
孫左衛門は最後に自分のつとめを果たすのですが、するともう、何もはばかるものはない。
また、新たな自分の道を進んでもいいのです。
しかし、彼がもう一つ果たすことが出来なかった、亡くなった主君と義士たちへの忠義。
そういうものを、自分よりも重要視してしまうその心のありようが、
骨身に染みついた武士のもの・・・。
ぜんぜん合理的ではありません。
実際それで誰が喜ぶでもなし。
でも、悲しく尊いですね。
そういうところに納得して感じ入ってしまう私は・・・やはり日本人なんだなあ。
この作品、日米同時公開だったそうなのですが、
アメリカの方はこれをどう思うのでしょう。
聞いてみたい気がします。

でも私がこの映画で一番泣けたのはそのラストではなくて、
さみしかったある行列に、次第に仲間が寄り集まって来るシーン。
これこそは、吉右衛門がすべての家臣を訪ね歩いた成果ではありませんか。
恩に報いようとする心。
これもまた忠義なのです。
このところ時代劇を多く見ましたが、この作品、ピカイチです。
是非多くの方に見ていただきたい作品。
難を言うと可音の役が・・・。
桜庭ななみさん。
確かにかわいらしくて、殿方には好評のようなのですが。
私の見たところ、この方のシーンだけシロウトっぽすぎて、
何だかハラハラしてしまって入り込めなかった・・・。
16歳ですからねえ・・・
そう適当なベテラン女優がいるわけもナシ。
仕方ないでしょうか。
2010年/日本/133分
監督:杉田成道
原作:池宮彰一郎
出演:役所広司、佐藤浩市、桜庭ななみ、安田成美、山本耕史、伊武雅刀

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赤穂浪士の吉良邸討ち入りで、大石内蔵助率いる46名が切腹により、主君に殉じた
・・・というのは、もういうまでもないお話。
この作品は、そのとき死ぬことを許されなかった二人の武士の、その後の物語です。
一人は、討ち入り直前に逃亡した瀬尾孫左衛門(役所広司)。
もう一人は、この出来事を後の人に伝える役を受けた寺坂吉右衛門(佐藤浩市)。
さて、討ち入りの事件から16年が過ぎています。
吉右衛門は、地方に散り散りになった浅野家の家臣を訪ね、
生活の援助をしてきていました。
ようやく最後の一人を訪ね終わったところ。
その彼が、孫左衛門の姿を見かける。
逃亡し、これまで生きながらえているとは・・・、
とんでもない裏切り者なのです。
ところが、実は彼が逃げ延びたのには深いワケがあったのです。
孫左衛門は、妙齢の女性と二人で暮らしている。
妻でもなく、娘でもなく・・・、
その扱いはまるでお姫様だ。
さて、この女性、可音(かね)とは、何者?

孫左衛門の住まいは竹林の奥にあります。
「美女と竹林」を思い出してしまいました。
何とも、美しく、風情があります。
冬の雪の中をこいで歩く孫左衛門。
あでやかな紅葉。
何気ない町の光景で、風に舞う砂埃。
私はこの砂埃に、うなってしまいましたよ。
そういえば、今私たちの身近では風が吹いても砂埃なんか舞わない。
あるがままの日本の四季の情景が美しい。
また、要所要所で「曽根崎心中」の人形浄瑠璃が挿入されています。
道ならぬ恋。
これを象徴しているわけですが、この効果がすばらしい。
この人形の感情を表現する細やかな動きなども、見物です。
しかし、この物語のテーマは道ならぬ恋ではありません。
それも絡めながら、武士の“忠義”を描き出している。
だから、このラストに不満な方は多いようなのですが、
私はこの終わり方しかないだろうと思います。
孫左衛門は最後に自分のつとめを果たすのですが、するともう、何もはばかるものはない。
また、新たな自分の道を進んでもいいのです。
しかし、彼がもう一つ果たすことが出来なかった、亡くなった主君と義士たちへの忠義。
そういうものを、自分よりも重要視してしまうその心のありようが、
骨身に染みついた武士のもの・・・。
ぜんぜん合理的ではありません。
実際それで誰が喜ぶでもなし。
でも、悲しく尊いですね。
そういうところに納得して感じ入ってしまう私は・・・やはり日本人なんだなあ。
この作品、日米同時公開だったそうなのですが、
アメリカの方はこれをどう思うのでしょう。
聞いてみたい気がします。

でも私がこの映画で一番泣けたのはそのラストではなくて、
さみしかったある行列に、次第に仲間が寄り集まって来るシーン。
これこそは、吉右衛門がすべての家臣を訪ね歩いた成果ではありませんか。
恩に報いようとする心。
これもまた忠義なのです。
このところ時代劇を多く見ましたが、この作品、ピカイチです。
是非多くの方に見ていただきたい作品。
難を言うと可音の役が・・・。
桜庭ななみさん。
確かにかわいらしくて、殿方には好評のようなのですが。
私の見たところ、この方のシーンだけシロウトっぽすぎて、
何だかハラハラしてしまって入り込めなかった・・・。
16歳ですからねえ・・・
そう適当なベテラン女優がいるわけもナシ。
仕方ないでしょうか。
2010年/日本/133分
監督:杉田成道
原作:池宮彰一郎
出演:役所広司、佐藤浩市、桜庭ななみ、安田成美、山本耕史、伊武雅刀