向かうところ敵だらけ。小学生の母も大変です。
* * * * * * * * * *
ワーキングウーマンの子育てにまつわる「お勤め」奮闘記です。
子育てをしつつ仕事を持つ女性にとって、保育園通いの終了が一区切り。
しかし、保育園の送り迎えが済めば楽勝・・・、とはならないんですねえ、これが。
この物語は、山田陽子の一人息子陽介が小学校に上がった初めての懇談会から始まります。
いきなり始まる、PTAの学級役員決め。
いつでも言いたいことをズバズバ言って、
あたりを押し倒して前進する「ブルドーザー女」と仕事上でもいわれている陽子。
ここでもその調子でまくし立ててしまいます。
「仕事を持っていて役員なんて絶対に無理。」
「そんなことはヒマな専業主婦がやればいい。」
挙句には、「PTAなんて必要なんですか。」
たちまち空気が凍りつきます。
仕事で敵を作るのは平気な陽子ですが、
「モンスター・ペアレント」と囁かれ、
息子の陽介に肩身の狭い思いをさせるのではないかと心配で、
後になり後悔することしきり。
しかし難題はPTAだけではなく、学童保育の父母会、自治会役員・・・
次々と振りかかる「お勤め」。
ただでさえ仕事に忙しいというのに・・・。
私も、ワーキングウーマンの一人ですので、この物語にはかつてのPTA役員にまつわる苦い思いやら何やら、
わーっと思い出してしまいました。
役を決めるときのあの重い空気。
本当に嫌なものです。
こんな小説になるくらいなので、日本全国共通なんですね。
4月の年度初めの同じような時期に、
どこでもそんな光景が繰り広げられているのかと思うと、恐ろしいくらいです。
仕事をしているからには「責任」もあるので、
専業主婦の方からすれば「休みを取ればいい」なんていいますが、そう簡単に休めるものではありません。
ただでさえ、子どものいろいろな行事や病気で休むことも多いですし。
―――というのが、当時の私の思いでした。
でも今、実際に働くお母さんは多いですし、
だからといって専業主婦の方にだけ押し付けるのはやはり間違っているというのは、わかります。
平日の行事にお父さん方の姿を見るのは珍しくない昨今ですが、
PTAの役員となるとめっきり男性の姿が減ります。
まだまだ子育ては女の仕事という意識は根強いですね。
今作中でも、「男性の協力で、女性の負担はもっと減らせる」と強調してあるのですが、
まだ現実は厳しそう。
こういうことは、今の私のように、その時期がすぎれば忘れ去ってしまう。
・・・だからすでに実態に合わない方法なのに、いつまでもそのまま続いているのでは・・・
という著者の指摘がありました。
そして、これからに向けた提案も。
私とて、学童保育の父母会などでは、バザーに取り組んだ楽しい思い出もあったりします。
学校や地域、全てひっくるめたトータル的な運営が出来ればいいのかもしれません。
さて、ミステリの作家らしく、この作品にはひとつ大きな秘密があります。
ちょっとびっくりしましたが、陽子さんをもっと好きになりました。
「7人の敵がいる」 加納朋子 集英社文庫
満足度★★★☆☆
七人の敵がいる (集英社文庫) | |
加納 朋子 | |
集英社 |
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ワーキングウーマンの子育てにまつわる「お勤め」奮闘記です。
子育てをしつつ仕事を持つ女性にとって、保育園通いの終了が一区切り。
しかし、保育園の送り迎えが済めば楽勝・・・、とはならないんですねえ、これが。
この物語は、山田陽子の一人息子陽介が小学校に上がった初めての懇談会から始まります。
いきなり始まる、PTAの学級役員決め。
いつでも言いたいことをズバズバ言って、
あたりを押し倒して前進する「ブルドーザー女」と仕事上でもいわれている陽子。
ここでもその調子でまくし立ててしまいます。
「仕事を持っていて役員なんて絶対に無理。」
「そんなことはヒマな専業主婦がやればいい。」
挙句には、「PTAなんて必要なんですか。」
たちまち空気が凍りつきます。
仕事で敵を作るのは平気な陽子ですが、
「モンスター・ペアレント」と囁かれ、
息子の陽介に肩身の狭い思いをさせるのではないかと心配で、
後になり後悔することしきり。
しかし難題はPTAだけではなく、学童保育の父母会、自治会役員・・・
次々と振りかかる「お勤め」。
ただでさえ仕事に忙しいというのに・・・。
私も、ワーキングウーマンの一人ですので、この物語にはかつてのPTA役員にまつわる苦い思いやら何やら、
わーっと思い出してしまいました。
役を決めるときのあの重い空気。
本当に嫌なものです。
こんな小説になるくらいなので、日本全国共通なんですね。
4月の年度初めの同じような時期に、
どこでもそんな光景が繰り広げられているのかと思うと、恐ろしいくらいです。
仕事をしているからには「責任」もあるので、
専業主婦の方からすれば「休みを取ればいい」なんていいますが、そう簡単に休めるものではありません。
ただでさえ、子どものいろいろな行事や病気で休むことも多いですし。
―――というのが、当時の私の思いでした。
でも今、実際に働くお母さんは多いですし、
だからといって専業主婦の方にだけ押し付けるのはやはり間違っているというのは、わかります。
平日の行事にお父さん方の姿を見るのは珍しくない昨今ですが、
PTAの役員となるとめっきり男性の姿が減ります。
まだまだ子育ては女の仕事という意識は根強いですね。
今作中でも、「男性の協力で、女性の負担はもっと減らせる」と強調してあるのですが、
まだ現実は厳しそう。
こういうことは、今の私のように、その時期がすぎれば忘れ去ってしまう。
・・・だからすでに実態に合わない方法なのに、いつまでもそのまま続いているのでは・・・
という著者の指摘がありました。
そして、これからに向けた提案も。
私とて、学童保育の父母会などでは、バザーに取り組んだ楽しい思い出もあったりします。
学校や地域、全てひっくるめたトータル的な運営が出来ればいいのかもしれません。
さて、ミステリの作家らしく、この作品にはひとつ大きな秘密があります。
ちょっとびっくりしましたが、陽子さんをもっと好きになりました。
「7人の敵がいる」 加納朋子 集英社文庫
満足度★★★☆☆