熟年離婚の危機は
* * * * * * * * * *
舞台はロンドン。
老年に差し掛かる建築家アダムとその妻メアリーの夫婦のあり方を描くドラマです。
子供たちは皆独立し、夫と二人暮らしになったメアリー。
鏡に映る自分に年齢を感じます。
多分若いころにはとても美しくて、男性の視線をいつも感じていたのでしょうね。
でも今は、メアリーとすれ違っても男性は誰も振り返ったりせず、
「まるで透明人間になったみたい」と彼女は感じます。
目も霞むし体力もない。
あるとき、記憶が一部すっぽ抜けるに至り、彼女は決心するのです。
もう若いころと同じようには暮らせない。
どんどん老いていく今後に向けて生活スタイルを考えなおそうと。
一方、夫のアダムはまだまだ現役の建築家。
しかし、華々しい設計で脚光を浴びたのは過去のことで、
周りからはもう古いと思われていることも薄々感じています。
でも、まだまだ諦めたくない。
自分の老いを認めたくないのです。
若いスタッフとともに、新たな設計に挑戦しようとする。
さて、このように老いを迎えるに当たって二人の考えは正反対。
互いにこの食い違いは受け入れがたく、ついに別居。
そうして熟年離婚へと向かっていきますが・・・。
メアリーの姿はもう数年先の私の姿。
他人ごとでなく、すごくリアルに感じてしまいました。
首筋にスカーフなど巻きたくなってしまう心境、よくわかります。
私はまだ経験がありませんが、
電車などで若い人に席を譲られたりしたら、すごくショックですよね。
それでまあ、やはり世間的定年の60歳くらいで、ライフスタイルを見直すというのは大事なことだと思います。
今作は夫婦間の見解の相違が問題となりますが、
私の見るところ、このお二人の間にはちゃんと愛があって、
どうも、そう危機的には感じられないのです。
本当に離婚だ!という話に進んできて、嘘でしょーと思ったくらい。
だからこそ、ラストが取ってつけたようには感じなかったわけで、それはそれでいいのかな?
さて、今作中でアダムの建築会社では、これまで飛行場など交通の拠点のデザインを中心にしてきたことになっています。
けれども今、そういう需要は殆どなく、
新規に老人ホームのデザインをするという会社の方針が出ました。
でもアダムはそれが気に入らないのです。
それで密かに美術館のコンペに応募をしようというわけ。
けれども私は、この老人ホームのデザインをもっと真剣に考えて欲しかったですね。
確かにそこにはこれまでの発想から離れた未知のアイデアが眠っているように思われるのです。
若い人が減り、老人ばかりがどんどん増えていくという状況は、日本も欧米も同様なんですね。
「老人だけを囲い込まないで、いろいろな年代の人と混在してほしい」とか、
「毎日遊んで暮らすなんてまっぴら、年をとっても人の役に立ちたい」とか、
作品中でもお年寄りの意見が出ていました。
私は美術館より、そういうことをきちんと追求して欲しかったなあと、
つくづく思い、ちょっと残念でした。
「最高の人生をあなたと」
2011年/フランス・ベルギー・イギリス/90分
監督:ジュリー・ガブラス
出演:イザベラ・ロッセリーニ、ウィリアム・ハート、ドリーン・マントル、ケイト・アシュフィールド
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舞台はロンドン。
老年に差し掛かる建築家アダムとその妻メアリーの夫婦のあり方を描くドラマです。
子供たちは皆独立し、夫と二人暮らしになったメアリー。
鏡に映る自分に年齢を感じます。
多分若いころにはとても美しくて、男性の視線をいつも感じていたのでしょうね。
でも今は、メアリーとすれ違っても男性は誰も振り返ったりせず、
「まるで透明人間になったみたい」と彼女は感じます。
目も霞むし体力もない。
あるとき、記憶が一部すっぽ抜けるに至り、彼女は決心するのです。
もう若いころと同じようには暮らせない。
どんどん老いていく今後に向けて生活スタイルを考えなおそうと。
一方、夫のアダムはまだまだ現役の建築家。
しかし、華々しい設計で脚光を浴びたのは過去のことで、
周りからはもう古いと思われていることも薄々感じています。
でも、まだまだ諦めたくない。
自分の老いを認めたくないのです。
若いスタッフとともに、新たな設計に挑戦しようとする。
さて、このように老いを迎えるに当たって二人の考えは正反対。
互いにこの食い違いは受け入れがたく、ついに別居。
そうして熟年離婚へと向かっていきますが・・・。
メアリーの姿はもう数年先の私の姿。
他人ごとでなく、すごくリアルに感じてしまいました。
首筋にスカーフなど巻きたくなってしまう心境、よくわかります。
私はまだ経験がありませんが、
電車などで若い人に席を譲られたりしたら、すごくショックですよね。
それでまあ、やはり世間的定年の60歳くらいで、ライフスタイルを見直すというのは大事なことだと思います。
今作は夫婦間の見解の相違が問題となりますが、
私の見るところ、このお二人の間にはちゃんと愛があって、
どうも、そう危機的には感じられないのです。
本当に離婚だ!という話に進んできて、嘘でしょーと思ったくらい。
だからこそ、ラストが取ってつけたようには感じなかったわけで、それはそれでいいのかな?
さて、今作中でアダムの建築会社では、これまで飛行場など交通の拠点のデザインを中心にしてきたことになっています。
けれども今、そういう需要は殆どなく、
新規に老人ホームのデザインをするという会社の方針が出ました。
でもアダムはそれが気に入らないのです。
それで密かに美術館のコンペに応募をしようというわけ。
けれども私は、この老人ホームのデザインをもっと真剣に考えて欲しかったですね。
確かにそこにはこれまでの発想から離れた未知のアイデアが眠っているように思われるのです。
若い人が減り、老人ばかりがどんどん増えていくという状況は、日本も欧米も同様なんですね。
「老人だけを囲い込まないで、いろいろな年代の人と混在してほしい」とか、
「毎日遊んで暮らすなんてまっぴら、年をとっても人の役に立ちたい」とか、
作品中でもお年寄りの意見が出ていました。
私は美術館より、そういうことをきちんと追求して欲しかったなあと、
つくづく思い、ちょっと残念でした。
「最高の人生をあなたと」
2011年/フランス・ベルギー・イギリス/90分
監督:ジュリー・ガブラス
出演:イザベラ・ロッセリーニ、ウィリアム・ハート、ドリーン・マントル、ケイト・アシュフィールド