映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

タイタニック 3D版

2012年04月10日 | 映画(た行)
スペクタクル・ロマン再び



                   * * * * * * * * * *

見ました!
「タイタニック」は何度目かわからないくらいですが、また見ました!!
3D版、気合を入れてIMAXシアターで見ましたよ!!!
アカデミー賞11部門受賞、ジェームズ・キャメロン監督が賞賛をほしいままにした超大作。
1997年というので、もうあれから15年にもなるのですね。
今作は同監督が、最新の技術で全編3D化したもの。
期待が高まります。


ストーリー紹介など今更ですが・・・
ときは現代。
タイタニック号引揚げ作業の責任者ラベットが、
タイタニック最大の秘宝と伝えられるダイヤモンド
“ハート・オブ・ジ・オーシャン”を身につけた若い美女のスケッチ画を発見します。
そのニュースをテレビで見た102歳のローズが、絵のモデルは自分だと名乗り出ました。
ローズは悲劇の航海の様子を語り始めます。


1912年4月10日。
イギリスの豪華客船タイタニック号がアメリカへ向け処女航海へ出発。
(・・・おお、奇しくもちょうど100年前!!)
出港直前に乗船券を手に入れた画家志望の青年ジャックは、
名家の令嬢ローズと知り合います。
ローズは、没落貴族の悲しさ、お金のために好きでもない富豪のホックリーと婚約していますが、
希望のないその将来に絶望を感じているのです。
ジャックとローズは互いに心惹かれ、親密になっていくのですが・・・。
出港4日目の深夜、船は氷山に激突。
1時間後には沈没するというその船内の、混乱、恐怖。
脱出のボートにも乗らなかった二人に、船の最後の時が近づきます。


                * * * * * * * * * *


今作のいいところは、ラブストーリーとスペクタクルが実に心地よく融合しているところ。
どちらも取ってつけたようではなく、どちらがなくても今作は成り立たない。
新天地アメリカへの航海、しかも出来立てほやほやの注目のタイタニック号。
この旅の高揚感が素晴らしいですよね。
後の悲劇を知っている私達でさえ、その先行きも忘れて気持ちが高ぶってしまいます。
それというのもこの写真のシーン。
ジャックとローズが船の舳先に立ち、“飛ぶ”シーンです。
あの頃、誰もがこのシーンをまねましたよね。
セリーヌ・ディオンの歌にのせて。
・・・いや何度見ても素晴らしいシーンです。




他にも私の好きなシーンはいくつもありますが・・・


老ローズがジャックにスケッチをしてもらうところを語るシーン。
引揚げ船のスタッフが皆で彼女を取り囲んで、目を丸くして聞き入っているのが、愉快です。
老ローズ役はグロリア・スチュアートという方ですが、
30年代に金髪美人女優として名を馳せた方だそうです。
たしかに若い頃はさぞお美しかっただろうという気品がありますね。
ローズにとっては、ダイヤモンドよりもその絵のほうがずっと大事だったわけです。



3等客用のにぎやかなバーで、どんちゃん騒ぎのダンスに興じるシーンも心に残っています。
気取ったディナーの席よりもずっと気持ちがいい。
食事のマナーは、欧米人なら誰でもお手のものと思いきや、
それは特権階級だけのモノなんですね。
ジャックは、たくさん並んだナイフやフォークの使い方がわかりません。
豪華客船とはいえ、階級に応じてしっかり区切られていて
(今もこれは変わりませんけれど)、
しかも避難も階級順とは・・・。
こういう現実がしっかり描かれているのもいいです。


それから、船尾の手すりにしがみつき、沈む直前の二人。
恐怖に凍りつく場面ではありますが、わずかにローズが微笑むシーンがあります。
ここは初めて二人が出会ったところ。
愛する人と、こんなふうに運命を共に出来ることを幸せに感じた瞬間です。
「決して諦めるな。
 どんなことをしても生きて、幸せな結婚をして、
 たくさん子どもを産んで、長生きして、暖かい部屋で死ぬんだ。」
ジャックの言葉が、それからの彼女を支えたのでしょう。



私が初公開時に劇場で見て、涙にくれたのは、ラストシーンです。
ローズの魂が懐かしいタイタニック号に入り込んでいくと、
あの大階段のところで待っていたジャックが振り向く。
それを取り囲む懐かしい人々が、二人を拍手で迎え入れる・・・。
今回は・・・、
3時間以上の大作で、もよおして(!)しまいまして、
ひたすら早く終わることを願っていたため、泣く余裕がありませんでした^^;



さてさて、3Dの効果。
これはもう元々がすごいのに、またまた迫力が加わってます。
ただ、いつも3Dを見て思うのですが、初めのうちはその立体感に驚かされるのですが、
次第に、それはどうでも良くなってきます。
やっぱり重要なのはストーリーですよね。
でも、そうですね、ラスト付近、冷たい海に累々と浮かぶ死体。
その死体が本当に目の前にあったので、ちょっと焦りました。
自分も浮かんだ死体の一つのような感じ・・・。
それから、特にIMAXは、音響も素晴らしい。
私は恐ろしくて、寒々しくて(氷山の浮かぶ海ですから!!)、まさに身も心も震えていました。
そして、若きレオナルド・ディカプリオとケイト・ウィンスレットの、なんとみずみずしく美しいこと。
この巨大スクリーンに耐えるお肌の滑らかさ・・・、
ああ、若いって素晴らしい・・・。


何度見ても飽きないですね。
私の中では、「風と共に去りぬ」と同じくらいに高みにある永遠の名作であります。

「タイタニック 3D版」
2012年/アメリカ/195分
監督:脚本:ジェームズ・キャメロン
出演:レオナルド・ディカプリオ、ケイト・ウィンスレット、ビリー・ゼイン、キャシー・ベイツ、フランシス・フィッシャー、ビル・パクストン