映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ジョン・カーター

2012年09月29日 | 映画(さ行)
劇場の大画面、そして3Dで見るべきだったのかも



                 * * * * * * * * * 

今作の原作は、1912年に発表された
SFヒロイックファンタジー「火星のプリンセス」。
アンドリュー・スタントン監督が子供の頃から夢中になり憧れた作品で、
ついにアニメでなく実写という形で映画化にこぎつけた、
というイワクがあるのです。
・・・というような前フリを一応しておくことにしましょう。


時は1868年、アメリカ南北戦争で活躍したジョン・カーターでしたが、
ある事件ですっかり生きる意味を見失っていました。
そんな彼がある日突然、地球から遠く離れた火星=バルスームに瞬間移動してしまいます。
バルスームには、緑色の肌で手が4本というサーク族かいて、
また、地球人とそっくりな赤色人はヘリウム国とゾダンガ国が敵対している。
そして、ゾダンガ国を影で操っているサーン族こそが
地球と火星を行き来できる不思議な力を持つ謎の存在。
ジョン・カーターは故郷アメリカにいた時同様、
人の争いごとなど無関係、自分は関わりたくないと思っているのですが、
ヘリウムの王女デジャーと知り合うことで
否応なく争いに巻き込まれ、
そしてついにはヘリウム国を守るため、立ち上がります。



ジョン・カーターは、地球上でも凄腕ではありましたが、
バルスームにおいては重力の関係でほとんどスーパーマン。
なるほど、こういう設定は興味深いですね。
当時のアメリカの、同国人でありながら南北に敵対していたこと、
またさらに原住民であるインディアンとの争いもあったことなど、
双方の事情がリンクしているところはなかなかいい。


ジョン・カーターはバルスームで飛行物を始めて目にします。
光で空をとぶ船。
太陽光パネルが羽のようになっている、というのも面白いなあ。
なんともブサかわいい巨大な犬のようなウーラも大好きでした。
サーク族の卵からかえったばかりの赤ん坊が、
ジョン・カーターに甘えるみたいにくっついて眠っていたのが、
なんとも可愛くてつい笑ってしまいました。



このように、結構気に入ったシーンもあったのですけれど・・・
なんだか全体的に、ドキドキ・ワクワク感がなくて、
ヒーロー・ヒロインにもやや華が足りない・・・。
冒頭に書いたように、このストーリーの原作は、
現在ある多くのスペースファンタジーの原点なんですね。
ここが出発点だった。
だから今これを見たら、ものすごくオーソドックスに思えてしまうのは、
無理もないことなのかも知れません。
そして、今作については、
やはり劇場の大画面、そして3Dで見るべきだったのかも知れません。
それなら迫力もあって、もう少し楽しめたのかも。
決して出来が悪いわけではないのですが、
大満足には何かが足りない・・・、そんな印象でした。

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「ジョン・カーター」
2012年/アメリカ/133分
監督:アンドリュー・スタントン
原作:エドガー・ライス・バローズ
出演:テイラー・キッチュ、リン・コリンズ、サマンサ・モートン、マーク・ストロング、キアラン・ハインズ