映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ラム・ダイアリー

2012年12月19日 | 映画(ら行)
酒浸り日記



            * * * * * * * * *
 
ならず者ジャーナリストと呼ばれたハンター・S・トンプソン(2002年没)が
22歳の時に書いた半自伝的青春小説ですが、
彼の友人であるジョニー・デップが、自ら彼の役を務めています。
私は本作はもう少しおちゃらけた作品かと思っていたのですが、
そういうのとは少し違っていました。



1960年代のプエルトリコ。
弱小新聞社にポール・ケンプが記者として入社。
星占いの記事を書く他は、
ラム酒浸りで、自堕落な生活を送る日々。
その頃のプエルトリコは、美しい楽園のような南の島。
裕福なアメリカ人にとっては夢のリゾート地です。
しかしその一方、もともといた住民たちは海を汚され、海岸線の土地を奪われ、
どんどん生活に困窮していっているのです。
今なら環境破壊ですぐにでも反対運動が立ち上がるところですが、
当時はそんな思想などありません。
ただひたすら欧米の富裕層に食い物にされてしまった南の島々。
ポールは毎日飲んだくれながらも、
そんな状況が次第にはっきり見えてきます。
けれどジャーナリスト魂でそれを声高に叫ぶほどの強い正義感を持っているわけでもない。
そもそも、この新聞社自体、
そうした金持ちがスポンサーとなって成り立っているわけですから、
やはりそれはできないのです。
ちょっと皮肉な眼で現実を見据えながらも、
起業家アンダーソンの汚い儲け話に乗りかかったりもします。
この力の抜け加減が、なんかイイですよね。
断固として巨悪に望む!!というのとはちょっと違う。

けれども、アンダーソンの婚約者を好きになってしまうという別の流れから、
アンダーソンと敵対していくという、
“なりゆき”任せなのが、気に入りました。
とすればこれがやっぱり、ジョニー・デップにはピッタリなんですね。
なかなか良いと思いました。



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「ラム・ダイアリー」
2011年/アメリカ/120分
監督:ブルース・ロビンソン
出演:ジョニー・デップ、アーロン・エッカート、マイケル・リスポリ、リチャード・ジェンキンス、アンバー・ハード