自らをリストラし、夢にかける

* * * * * * * * *
ちょうど私くらいの世代かも知れません。
子供の頃、男の子の将来の夢が「電車の運転手さん」というのは。
今作主人公肇(中井貴一)も、子供の頃電車の運転士に憧れていたのです。
それも自分が生まれ育った家のすぐ傍を通る一畑電車、
通称“バタデン”の運転士。
島根県出雲市が舞台です。
肇は東京の一流企業に勤めていましたが、いつも多忙で仕事一筋。
家庭のことはいつも二の次。
いつしか子供の頃の夢など忘れ果てていましたが・・・。
故郷でひとり暮らしをしている母が倒れ、
49歳にしてこれまでの人生をリセット。
故郷の地で電車の運転士になろうと決意します。

リストラされる話はザラにありますが、
自らをリストラする話はそうはありません。
まあ、普通はあり得ないでしょ、と言いたいところですが、
いくつになっても、夢を叶えようとするのに遅いことはない、
そう思いたいので、好感をもってみました。
彼を応援する家族もいいですね。
バラバラだった夫婦と娘。
この家族が住むところを別にしてもなお、絆が強まっていく。
活き活きと働く父親を見たら、文句なんか言えません。
自分も頑張らなくっちゃ、と思えてきますね。

故郷への回帰。
今多くの地方市町村が老人ばかりになっている時に、
こうした働く世代が戻ってくるというテーマもいいと思います。
何も、農業じゃなくてもいいんですよね。
地方都市にもいろいろな人がいて、いろいろな仕事があって成り立っているのだから。
なぜか大都会にばかり集中している人々が
少しでも地方に戻って、故郷の活性化につながればいい、と、
大都会ならざる土地に住んでいる私などは思います。
(札幌は大都会???
東京からするとやはり田舎都市と思っているのですが。)
けれど、北海道は北海道で、札幌への集中化が進んでいて、
他人事ではありません。
難しいものです。
さて、バタデンの古い車両は、木製なので、大工さんが修理。
他の部品類も製造されていないので、整備の方が一つ一つ工夫して修理をしていく。
古いものでも大事にしていく、そんな心意気がいいですね。
なんだか人々がしっかりと自分なりに生活している、そんな雰囲気に満ちたこの地方都市。
焦らなくてもいい。
一つ一つ。一歩一歩。
そんな言葉が綺麗事じゃなくて、まっすぐ心に届きます。

もう一人、本物の新人運転士は、
実はプロ入りも決まっていたというのに肘を壊して挫折した野球青年。
彼は彼で、手に入る寸前の夢を逃してしまったということなのです。
でも、泣き言なんか言っていられませんよね。
49歳から再出発を始めた人がここにいる。
それからしたら、まだまだ色々な夢を育てていけるのだから・・・・。
だから若い人はちょっとくらい就職が遅れても、
自分が好きで誇りを持てる仕事に付けばいいのだと思う。
肇の娘とこの彼が、たぶん良い感じになっていくのだろうなあ・・・と、
そこは匂わせる程度というのも良い演出でした。
「RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語」
2010年/日本/130分
監督:錦織良成
出演:中井貴一、高島礼子、本仮屋ユイカ、三浦貴大、奈良岡朋子

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ちょうど私くらいの世代かも知れません。
子供の頃、男の子の将来の夢が「電車の運転手さん」というのは。
今作主人公肇(中井貴一)も、子供の頃電車の運転士に憧れていたのです。
それも自分が生まれ育った家のすぐ傍を通る一畑電車、
通称“バタデン”の運転士。
島根県出雲市が舞台です。
肇は東京の一流企業に勤めていましたが、いつも多忙で仕事一筋。
家庭のことはいつも二の次。
いつしか子供の頃の夢など忘れ果てていましたが・・・。
故郷でひとり暮らしをしている母が倒れ、
49歳にしてこれまでの人生をリセット。
故郷の地で電車の運転士になろうと決意します。

リストラされる話はザラにありますが、
自らをリストラする話はそうはありません。
まあ、普通はあり得ないでしょ、と言いたいところですが、
いくつになっても、夢を叶えようとするのに遅いことはない、
そう思いたいので、好感をもってみました。
彼を応援する家族もいいですね。
バラバラだった夫婦と娘。
この家族が住むところを別にしてもなお、絆が強まっていく。
活き活きと働く父親を見たら、文句なんか言えません。
自分も頑張らなくっちゃ、と思えてきますね。

故郷への回帰。
今多くの地方市町村が老人ばかりになっている時に、
こうした働く世代が戻ってくるというテーマもいいと思います。
何も、農業じゃなくてもいいんですよね。
地方都市にもいろいろな人がいて、いろいろな仕事があって成り立っているのだから。
なぜか大都会にばかり集中している人々が
少しでも地方に戻って、故郷の活性化につながればいい、と、
大都会ならざる土地に住んでいる私などは思います。
(札幌は大都会???
東京からするとやはり田舎都市と思っているのですが。)
けれど、北海道は北海道で、札幌への集中化が進んでいて、
他人事ではありません。
難しいものです。
さて、バタデンの古い車両は、木製なので、大工さんが修理。
他の部品類も製造されていないので、整備の方が一つ一つ工夫して修理をしていく。
古いものでも大事にしていく、そんな心意気がいいですね。
なんだか人々がしっかりと自分なりに生活している、そんな雰囲気に満ちたこの地方都市。
焦らなくてもいい。
一つ一つ。一歩一歩。
そんな言葉が綺麗事じゃなくて、まっすぐ心に届きます。

もう一人、本物の新人運転士は、
実はプロ入りも決まっていたというのに肘を壊して挫折した野球青年。
彼は彼で、手に入る寸前の夢を逃してしまったということなのです。
でも、泣き言なんか言っていられませんよね。
49歳から再出発を始めた人がここにいる。
それからしたら、まだまだ色々な夢を育てていけるのだから・・・・。
だから若い人はちょっとくらい就職が遅れても、
自分が好きで誇りを持てる仕事に付けばいいのだと思う。
肇の娘とこの彼が、たぶん良い感じになっていくのだろうなあ・・・と、
そこは匂わせる程度というのも良い演出でした。
「RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語」
2010年/日本/130分
監督:錦織良成
出演:中井貴一、高島礼子、本仮屋ユイカ、三浦貴大、奈良岡朋子