映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ポテチ

2012年12月26日 | 映画(は行)
食べてみたら意外と美味しくて気に入った。塩味ポテチ。



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伊坂幸太郎氏の中編集「フィッシュストーリー」に収められた一作の映画化。
私、井坂幸太郎ファンですが、
なぜか映画化作品を見ていなかったような・・・。
別に避けていたわけでもないのですが、
本で読んでいたので、あえて見るまでもないか、
とそういうことだったかと思います。



今村は、空き巣を生業とする青年。
彼は同じ街で同じ年同じ日に生まれた野球選手・尾崎の大ファンなのです。
けれどその尾崎はこの頃振るわず、なりをひそめています。
尾崎とは直接あって話したこともないけれど・・・、
家族や恋人を巻き込んで、二人は不思議な絆でつながっていきます。


今作は68分と、大変コンパクトに出来上がっていますが、
その中に、まさしく伊坂幸太郎エッセンス凝縮。
今村の鋭いのかバカなのかよくわからない茫洋とした感じ。
(けれど密かにとても悩んでいる!!)。
人の心がわからないという黒澤の、独特の存在感。
普通だけど熱い若菜。
それぞれ大好きです。



塩味のポテチとコンソメ味のポテチ。
コンソメ味を食べたかったのだけれど、
間違って塩味を渡されて、
食べてみたらこれが意外と美味しくて気に入った。
・・・そこで泣けてしまう今村の心境とは・・・?



いいですね。
張り巡らされた伏線の中で、笑いがありちょっぴり悲しみもあって、
とても満足感のある作品でした。

「ポテチ」
2012年/日本/68分
監督:中村義洋
原作:伊坂幸太郎
出演:濱田岳、木村文乃、大森南朋、石田えり、中林大樹